2023 Fiscal Year Annual Research Report
アミドボランイオンを有する水素貯蔵イオン液体の創製
Project/Area Number |
21K04695
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中川 鉄水 琉球大学, 理学部, 准教授 (50647261)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水素貯蔵 / イオン液体 / アンモニアボラン / カルベン / 共晶融解 |
Outline of Annual Research Achievements |
アンモニアボラン(AB:NH3BH3)は高水素密度だが、水素放出速度が遅く、アンモニアなどの不純物を放出する。われわれはこの解決策として、ABにイオン液体(IL、例:[Bmim+][Cl-])と金属水素化物(MH)を混合し、高速で水素を放出することに成功した。この反応過程は、①LiH + NH3BH3 → [Li+][NH2BH3-] + H2 → ②[Li+][NH2BH3-] + [Bmim+][Cl-] → ③ILAB([Bmim+][NH2BH3-]) + [LiCl]となることが示唆された。本研究では、このILAB(イオン液体アミドボラン)の存在を証明した上で、単離を試みその基礎物性を明らかにすることを目的とする。 初年度は反応②によるILAB合成を試みたが、LiABとILの共晶融解物([Li+][Bmim+][NH2BH3-] [Cl-])である可能性が残った。2年目もILABとLiClが分離できる溶媒が発見できなかったため反応過程で塩を生成しない合成ルート([Bmim+][NH2-] + BH3-THF → [Bmim+ ][NH2BH3-])を試みるためにイオン液体アミド([Bmim+][NH2-])を合成するべくLiNH2と [Bmim+][Cl-]を混合したところ、液体アンモニア中でのみ原料どうしの反応を確認できた。しかし今年度の研究で、この生成物がカルベンとなっていることがわかったため、一旦ILAB合成を見送り、LiABとILの共晶融解物の水素・アンモニア放出特性を調査した。その結果、水素放出時に[Bmim+]がカルベン化し、[NH2BH3-]と反応することで[BmimBH3]が一部生成されることが明らかになった。そこでイミダゾリウム系ILからアンモニウム系イオン液体に変更することでカルベン化が抑えられ、水素放出速度も向上した。
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