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2021 Fiscal Year Research-status Report

水素密度制御を利用した高速イオン伝導体の開発

Research Project

Project/Area Number 21K04700
Research InstitutionKwansei Gakuin University

Principal Investigator

松尾 元彰  関西学院大学, 工学部, 准教授 (20509038)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords固体電解質 / 水素 / イオン伝導
Outline of Annual Research Achievements

リチウムイオン電池のさらなる高エネルギー密度化のために、従来の有機溶媒系電解液に替わり得る電気化学的安定性に優れた非溶媒系の固体電解質の開発が強く望まれている。LiBH4を始めとする無機水素化物は、イオン伝導特性・電気化学的安定性ともに優れるため、固体電解質として利用できる可能性が高い。本課題ではクロソ型錯イオンBnHnを有する水素化物であるLi2B10H10、Na2B10H10、Na2B12H12を対象として、固体電解質の開発に取り組んでいる。これらの水素化物はいずれも構造相転移に伴って超イオン伝導を示すため、固体電解質としての応用が期待される。しかし、構造相転移温度(Li2B10H10:360℃、Na2B10H10:110℃、Na2B12H12:260℃)以下での非超イオン伝導相ではイオン伝導率が極端に低いため、固体電解質と応用するためには構造相転移温度以下でのイオン伝導特性を改善することが課題となる。そこで、水素化物中の水素量を制御することで構造相転移温度を低下させる、あるいは非超イオン伝導相のイオン伝導特性を向上できないか検討を行っている。
2021年度は、3種類のクロソ系錯体水素化物に対して示差熱/熱重量同時分析を行い、それぞれの脱水素化温度を求め、その結果を基にして水素圧力/組成/温度測定を行い、水素量を制御した試料(Na2B12H12-x、Na2B10H10-y、Li2B12H12-z)の合成に取り組んだ。粉末X線回折と交流インピーダンス測定により構造評価およびイオン伝導特性評価を行った。その結果、いずれの水素化物においても
・部分的に脱水素化した試料が合成可能であること
・構造相転移温度が低下すること
・非超イオン伝導相のイオン伝導特性を向上すること
を明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

実験計画では
(1)Na2B12H12、Na2B10H10、Li2B12H12の3種類のクロソ系錯体水素化物に対して熱分析からそれぞれの脱水素化温度を求め、その結果を基にして水素量を制御した試料を合成する
(2)得られた試料の構造をin-situ温度可変のX線回折により評価し、それぞれの試料が元の構造を維持したままどの程度の部分脱水素化が可能であるかを見極める
(3)イオン伝導特性を評価する
ことを掲げていた。実際に部分的に脱水素化した試料が合成し、構造相転移温度が低下すること、非超イオン伝導相のイオン伝導特性が向上することを明らかにしている。しかしながら、(2)の昇温過程でのX線回折は実施できなかった。
総合的に鑑みて、概ね計画通りに研究を進めることができている。

Strategy for Future Research Activity

2022年度は以下の研究に取り組む。
・得られた試料の構造をin-situ温度可変のX線回折により評価する。それぞれの試料が元の構造を維持したままどの程度の部分脱水素化が可能であるか、すなわち水素密度の適正範囲を見極める。
・現状のインピーダンス測定セットアップでは、測定最高温度が160℃までである。より広い温度範囲で詳細にイオン伝導特性を評価するために、雰囲気制御しながら500℃までの測定に使用可能であるインピーダンス測定容器を作製する。水素放出に伴うイオン伝導特性の変化をin-situ観測するとともに、構造相転移後の超イオン伝導相のイオン伝導特性を明らかにする。

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Published: 2022-12-28  

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