2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of functional microcapsule based on piezoelectric PVDF films
Project/Area Number |
21K04701
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
今井 裕司 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (40334693)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロカプセル / PVDFフィルム / エッチング / 内視鏡 / pHセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,有機強誘電体であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムを用いて,体内でマイクロカプセルを移動させるための機構の開発を目的とする。PVDFフィルムの一部分に配向分極処理や表面加工を施すことにより,電圧印加時のPVDFフィルムのひずみをイモ虫の動力のように制御して,マイクロカプセルの移動機構を確立する。これにより,マイクロカプセルが診察や治療を行う部位に戻ったり,任意の場所に留まったりして治療を継続できる。さらに,我々が開発したPVDFフィルムを用いた水素ガスセンサをpHセンサへ応用し,消化器官のpH値を測定することによって,健康状態を同時にモニターできるようなデバイスの構築を目指す。 令和3年度はマイクロカプセルの移動機構の検討を行った。エッチング処理によりPVDFフィルムに一定間隔に溝を掘った表面加工を施した。PVDFフィルム両面の歪量に差を持たせ,前進(後進)するようなイモ虫型の移動機構を持たせるために,PVDFフィルムの表面加工の幅,ピッチ,構造や電極の付け方などを検討した結果,エッチング処理面で歪量が大きくなることを確認できた。さらに,pHセンサの検討を行った。OHPシート上に下部電極となる金 (Au)を蒸着して,その上にPVDF溶液を塗布して乾燥させ,さらにその上に,パラジウム(Pd)を蒸着してセンサ試料とした。Pd薄膜が溶液中の水素イオンを吸収(放出)したときの体積膨張(収縮)に伴い,有機圧電素子であるPVDFフィルムに応力がかかって歪むことにより,センサから出力電圧を取り出すことを原理としている。溶液中の水素イオン濃度を本センサ素子で測定することにより,pH値をリアルタイムで測定できることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は,マイクロカプセルの移動機構の検討を行うために,ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムのエッチング処理について検討した。フィルムをエッチングするためのマスク処理,有機溶媒,温度,エッチング時間を調整することにより,フィルムのエッチング速度を算出できた。次に,エッチング処理によりPVDFフィルムに一定間隔に溝を掘った表面加工を施した。エッチングを行ったフィルムに直流電圧を印加したときのフィルムの変位量を調査した結果,エッチング面での変位量が大きくなる傾向を確認できた。今後,エッチング長さと幅,ピッチ幅,パターンをさらに検討することで,カプセル内視鏡を移動させる機構を確立していく予定である。 さらに,PVDFフィルムにパラジウム(Pd)を堆積させたpHセンサを作製した。作製したセンサ素子をpH値の調整が可能な溶液に浸したときのセンサからの出力電圧を評価した。溶液を①アルカリ性(pH9.28)から酸性(pH4.16)に変化させたときと,②酸性(pH4.13)からアルカリ性(pH9.07)に変化させたときで実験を行った。①では,pH値が減少するのに伴い,センサからの出力電圧は減少する傾向がみられた。 ②では,pH値が増加するのに伴い,センサからの出力電圧は増加する傾向を示した。溶液中の水素イオン濃度は酸性の方が大きいため,①の過程ではセンサ素子のPd薄膜が水素イオンを吸収して膨張し,②の過程では水素イオンを放出して収縮することにより,PVDFフィルムの静電容量が変化してセンサからの出力電圧も変化したと考えられる。pH値の調整が可能な溶液中で,pHセンサの出力電圧が変化したことから,pHセンサへの応用が可能なことが確認できた。 以上,当初の研究実施計画の達成度として,おおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムのエッチング長さと幅,ピッチ幅,パターン,PVDFフィルムを動作させるための信号パルス入力の方法などをさらに検討する。それにより,PVDFフィルム両面の歪量に差を持たせ,歪の変位に位相差をつけて前進(後進)するようなイモ虫型の移動機構を持たせる。また,ガラスなどの基板上にチオール修飾またはc軸配向した酸化亜鉛薄膜を部分的に塗布し,その上にPVDFフィルムを形成することにより,PVDFフィルムの一部分を配向分極制御することや,P(VDF-TrFE-CTFE)系の有機強誘電体材料を用いて,フィルムの作製条件を検討していくことも行う。pHセンサについては,消化液を模した溶液に接触するセンサ構造やPd電極の構造の検討を行い,より高感度のセンサを作製して,pHセンサのカプセル内視鏡への搭載を目標にしていく。
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Research Products
(2 results)