2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on hydrogen embrittlement of Ni alloy
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21K04702
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
津崎 兼彰 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, フェロー (40179990)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 構造材料 / 水素脆化 / 粒界破壊 / ミクロ組織制御 / Ni合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究計画の概要】油井管用Ni-20%Cr合金の水素脆化を対象として、代表者による直近の事前検討成果から生まれた独自の学術的な「問い」:(1)粒界破壊き裂は連続的に成長するのではなく、不連続成長するのではないか?;(2)粒界への転位パイルアップを抑制できれば、そして粒界破壊を抑制できれば、水素脆化を防げるのではないか?の二つに応えるための3年間の実験研究を遂行する。問い(1)は、シリアルセクショニング法と最新のラボ用X線CT法によって粒界破壊の三次元像を取得することで実証する。問い(2)には、代表者の得意手法である温間圧延プロセスによって結晶粒内へ転位セル組織を均一導入すると共に粒界形状を制御することで達成する。 【研究実績の概要】 問い(1)に関して:ラボ用X線CT法を用いた粒界破壊の三次元像観察のサンプル形状および観察条件の検討を行った。また予備実験として、溶体化処理材のCT試験片におけるき裂近傍のミクロ組織のSEM-EBSD法による詳細観察を行い、本合金の水素脆化粒界破壊が不連続に起こることを示唆する結果を得た。具体的には、粒界主き裂の前方において、粒内すべり帯と粒界が交差する箇所にボイド状の損傷が認められた。 問い(2)に関して:加工フォーマスターを用いて400℃、500℃、600℃での圧縮試験を行い、温間域での材料の変形抵抗を取得した。これらの情報をもとに大型圧延機を用いて500℃で50%の圧延を施し、厚さ9mmの板状素材を取得した。 さらに関連課題の研究論文2件を公開するとともに、2件の口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は計画通りに進捗している。成果発表も口頭発表2件と関連論文発表2件を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進行しており、当初計画通りに研究を進める。研究のさらなる推進としては、水素脆化を克服する新しいプロセス手法として代表者の得意手法である温間圧延プロセスの有用性をアピールするために、その適用例の拡大を行う必要がある。このため、本研究で遂行中のNi20Cr合金と同じFCC鉄合金を対象として温間圧延プロセスを適用することを検討中である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために当初予定していた旅費の支出を行わなかったため。2022年度に旅費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)