2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of magnesium biomaterials as a mineral reservoir
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21K04705
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 博行 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究室長 (90416339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 敏司 神戸大学, 未来医工学研究開発センター, 教授 (40254429)
清水 良央 東北大学, 歯学研究科, 助教 (30302152)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マグネシウム基複合材料 / 生体材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マグネシウム生体材料に対して、適正な力学特性や分解性に加えて、カルシウムとリンの貯蔵と供給源としての役割(貯蔵機能)も付与することにより骨組織修復の促進を図った貯蔵機能型マグネシウム生体材料を創製することを目的としている。マグネシウム生体材料中のカルシウムやリンの存在形態の影響を解明するため、カルシウムとリンの形態が化合物の場合についての検討から着手した。カルシウムとリンを含む化合物としてリン酸三カルシウムを選択した。リン酸三カルシウムは生体吸収性(体内で徐々に分解吸収されて骨に置き換わる性質)をもったセラミックであるためカルシウムとリンの貯蔵と供給源として適切な化合物であると考えた。 リン酸三カルシウムの粒子がマグネシウム合金中に分散した複合材料を作製した。この作製にあたってはリン酸三カルシウムとマグネシウム合金の粉末を混合し、押出し加工によって固化した。この結果、マクロ的な欠陥のない良好な複合材料を作製することができた。得られた複合材料の材料学的な評価を進めた。押出し加工にともなって化学変化(化合物の分解など)がないことをエックス線回折によって確認した。また、リン酸三カルシウムの粒子の分散も顕著な凝集を起こすことなく均一に分散していることを走査電子顕微鏡観察によって確認した。複合材料の材料強度を圧縮試験によって評価した結果、0.2%耐力が約300MPaで十分に高い強度に達していることがわかった。材料学的な観点からは非常に良好な複合材料を作製することができた。 並行して、既存の実験サンプルを用いて小動物を用いた効率的な動物実験に関する検討を行い、動物の利用の仕方に関して確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに材料作製や作製した複合材料の材料強度や材料組織を評価することができ、また動物実験の予備実験にも着手することができたため、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、作製できた複合材料について耐食性の観点での評価を行うため、イーグル最小必須培地を使って複合材料の電気化学測定(自然電位測定、分極曲線測定)を行う。並行して、リン酸三カルシウム粒子を添加した材料を鋳造法によっても作製することを検討する。また、得られた複合材料に対して、動物実験に用いるインプラント材への加工を行って動物実験の準備を進める。動物実験においては、単純な組織反応に関してはラット等の小動物で可能であることを確認したが、分解挙動や骨形成に関する実験は予備実験行ったウサギ大腿骨にて行う予定である。
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Causes of Carryover |
良好な材料組織や機械的特性を有する複合材料が想定よりも順調に作製できた。材料作製の試行錯誤に必要と考えていた費用を次年度使用額として材料評価などに活用する。次年度は、複合材料作製に必要な原料や消耗品、電気化学測定などに必要な消耗品、インプラント材の作製のための消耗品、および動物実験などに使用する計画である。
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