2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of magnesium biomaterials as a mineral reservoir
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21K04705
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 博行 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究室長 (90416339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 敏司 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40254429)
佐野 有哉 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50822508)
清水 良央 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (30302152)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マグネシウム基複合材料 / 生体材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マグネシウム生体材料に対して、適正な力学特性や分解性に加えて、カルシウムとリンの貯蔵と供給源としての役割(貯蔵機能)も付与することにより骨組織修復の促進を図った貯蔵機能型マグネシウム生体材料を創製することを目的としている。前年度までに動物に埋植する複合材料素材(リン酸三カルシウムの粒子をマグネシウム合金中に分散させた材料)を作製した。 埋植材用の素材から圧縮試験片を採取し、骨への貫入(打ち込み)を想定して高速度での圧縮試験を実施した。素材の降伏強度は290 MPaを超える高い値を示すことがわかった。また、リン酸三カルシウムの体積率が強度に及ぼす影響は大きくなかった。 埋植材用の素材からネイル(釘)を加工し、模擬骨への貫入試験を行なった。貫入中に急激な荷重変化は見られなかった。このことから、貫入過程においてネイルの座屈や破断は生じていないことが推測された。貫入後の試料の観察結果からも、ネイルや模擬骨の破壊は生じていないことが確認できた。ネイルに破壊が生じないような良好な強度をもつこと素材であることが明らかになった。素材が微細な結晶粒組織を有したため良好な強度をもたらしたと考えられる。 動的圧縮試験で得られた材料データを用いて、貫入試験の有限要素解析によるシミュレーションを行って、貫入中のネイル内部に作用する応力分布も調査した。シミュレーションでの貫入速度は10 m/sとした。ネイルに作用する最大応力は動的圧縮試験で得られた素材自体の降伏応力を下回っていることが分かった。このことから、ネイルは貫入に際しての十分な強度を有していると確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネイル(釘)の埋植を実施する計画であったが、上記の貫入試験など動物実験前の入念な予備評価のため、埋植には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、開発した複合材料素材からネイル(釘)を加工して動物実験を行う。予備実験で評価法の妥当性を確認できたウサギ大腿骨にて分解挙動や骨形成に関する実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究者(研究代表者、研究分担者)の業務の多忙、および、研究遂行に想定以上に時間を要したことにより、当初の計画どおり、動物実験を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。動物実験の打ち合わせや学会発表のための旅費、動物実験のための物品費、および論文投稿のための費用などに使用する計画である。
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