2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of 3D nanostructured zinc oxide thin film formation technology with plasma assisted process using microdroplets
Project/Area Number |
21K04711
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹中 弘祐 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (60432423)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ミストCVD / 酸化亜鉛 / ガスセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では酸化物半導体材料の新しい表面微細構造形成プロセス技術として、酸化物半導体材料の表界面領域の物理的・化学的特性付与によって発現した機能によりデバイス特性を大きく向上させた革新的な半導体デバイス創製にブレークスルーをもたらす技術開発を念頭に、プラズマの高密度・高活性な反応場の能動制御と気相・液相界面反応の精密制御より、デバイス応用に最適な結晶構造・組成を有し、なおかつ比表面積が極大になる薄膜構造を有する高品質酸化亜鉛薄膜形成を実現に向けて、1)マイクロプラズマ支援による単一微小液滴をテンプレートとした比表面積の増大にむけた酸化亜鉛中空微粒子形成の実現と、2)酸化亜鉛中空微粒子を用いた3次元ナノ構造酸化亜鉛薄膜形成技術の開発とその構造制御技術の確立を目的に、以下の研究を行った。 微小液滴を含むマイクロプラズマの放電に関して、基礎過程に立脚した放電構造を含めた放電基礎特性は、未だ十分に解明されていない。そこで、微小液滴とマイクロプラズマの反応性の観点から、ガス温度、粒子種・粒子密度などのマイクロプラズマの基礎特性を調べた。液滴を噴霧した部分に照射したプラズマにおける発光測定では、プラズマ中に液滴が含有されることにより液滴から脱離した液体(水分子)とプラズマとの接触による水の分解反応より生成したOHラジカル強い発光が確認された。この結果は、酸化亜鉛形成に必須の酸化促進に有効な酸化剤(OHラジカル)の供給が微小液滴から供給が可能であることを示唆している。また、反応性に関わる粒子種(ラジカル)および粒子密度の変化を調べるために真空紫外吸収分光装置の構築に取り組んだ。現在、真空紫外光源、および真空紫外光が測定可能な分光装置を設置し、大気圧中でのマイクロプラズマの微小な吸収を捉えるために、吸収長を放電領域に合わせるための最適化を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は微小液滴を含むマイクロプラズマの放電特性評価を行ってきた。3次元ナノ構造を制御した高品質酸化亜鉛薄膜法の実現する上でも重要なパラメータである反応性に関わる粒子種、および粒子密度の変化を調べるために、放電領域における発光分光測定や、真空紫外吸収分光を行うための装置準備を進めてきた。 液滴を噴霧した部分に照射したプラズマにおける発光分光測定では、プラズマ中に含有された液滴から脱離した液体(水)とプラズマとの接触による水の分解反応より生成された、OHラジカルの強い発光が確認されている。しかしながら、微小液滴を含むマイクロプラズマの反応性に関わる粒子種、および粒子密度の変化を調べるために準備している真空紫外吸収分光装置の構築が遅延しており、そのため、それらの測定も次年度にずれ込んでいる。そこで、次年度は。、まずプラズマと微小液滴都の反応によるOHラジカルら生成されるという現状の知見を生かし、マイクロプラズマ中での液滴とプラズマとの反応過程の解明に関する実験を推進し、それに平行して真空紫外吸収分光装置を用いた粒子種の同定、および粒子密度について調べる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度得られたマイクロプラズマの放電特性の知見を生かし、微小液滴を用いた微粒子形成法の確立を念頭に、微小液滴を含むプラズマで反応を支援した微粒子形成機構を確立する。酸化亜鉛微粒子形成に寄与している酸化系反応種生成に適したガス種、放電条件を調べ、プラズマからの高密度・高活性な粒子入射束に対する微小液滴との反応(溶媒・製膜前駆体の蒸発・解離・分解)を質量分析、発光分光で解析し気相反応過程を明らかにし、微粒子の実効的表面積の増大を狙った能動的な中空粒子作製技術を開発する。この技術で形成した酸化亜鉛中空微粒子のマイクロプラズマ中の輸送過程を調べるため、ガス流速や放電空間の長さを変化させてレーザー回折散乱法によりマイクロプラズマ中での酸化亜鉛中空微粒子の挙動を時空間的に観測する。さらに液滴から中空微粒子が形成される過程におけるプラズマ中での中空微粒子の帯電現象によって受ける放電部で発生する電場からの影響を調査し、その振る舞いを検討する。これらの知見を基に、帯電した中空微粒子の運動エネルギーを静電・電磁的に制御する手法による酸化亜鉛中空微粒子の構造制御法を開発する。中空微粒子の形成に関わる微小液滴を含むプラズマの特性、気相反応過程、粒子輸送過程と、酸化亜鉛薄膜の形成に関わる表面反応過程との相関を検討し、微小液滴を含むプラズマによる3次元ナノ構造を持つ酸化亜鉛の形成機構を解明し、表面構造に影響を与える因子を明らかにし、所望の位置に制御した3次元ナノ構造を持つ酸化亜鉛薄膜の形成技術を確立する。
|
Causes of Carryover |
反応性に関わる粒子種(イオン・ラジカル)および粒子密度の変化を測定するための吸収分光装置の作製の遅延により、予定していた測定を行う事ができなかったため、その測定の伴う光学部品などの物品の購入を行わなかった。次年度の研究進捗に合わせて吸収分光装置の作製に必要な部材調達とともに測定装置の購入を行う予定のため、本年度の研究費を次年度に繰り越した。
|