2021 Fiscal Year Research-status Report
金属材料の低温緻密化を実現するための周期的圧力下通電焼結法の開発
Project/Area Number |
21K04712
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
北川 裕之 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (00325044)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 粉末冶金 / 通電焼結 / 緻密化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、周期的一軸圧力下パルス通電焼結法による材料の低温緻密化効果を検討している。低温処理による材料の緻密化は、分解温度と焼結温度の近い物質や難焼結性物質の焼結に対して有用であり、新物質の創成に資する技術になりうると考えられる。 本年度は球状Ti粉末(<45μm)を対象材料として、100 MPaの周期的一軸圧力下パルス通電焼結法により焼結温度200~600 ℃(保持時間:0 min)で焼結した。さらに、温度400 ℃および500 ℃においては0~30 min保持し、保持時間の影響を調べた。 周期的圧力下で作製された焼結体の相対密度は、温度200 ℃で約85 %、温度600 ℃で約99 %に達し、この値は、一定圧力下で作製された焼結体の相対密度(温度200 ℃で73.0 %、温度600 ℃で93.0 %)よりも大きな値であった。また、一定圧力下で相対密度99 %程度を達成するためには800℃の焼結温度が必要であるのに対して、周期的加圧では焼結温度600℃で達成可能であり、焼結温度を200℃程度低減できることがわかった。これらの結果は、周期的圧力印加は焼結初期・中期段階には有効であることを意味している。一方で、周期的圧力下においても、焼結温度400 ℃および500 ℃においては保持時間を増加させても相対密度に有意な変化は認められなかった。焼結温度400 ℃および500 ℃の低温において完全緻密化を達成するためには、圧力の増加など、さらなる検討が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
球状Ti粉末(<45μm)の低温緻密化について、広い温度範囲での周期的加圧の有効性が示された。焼結温度400 ℃および500 ℃での完全緻密化を達成するための知見が得られており、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
球状Ti粉末(<45μm)の低温緻密化について、焼結温度400 ℃および500 ℃での完全緻密化を目指す。周期的加圧を300MPa, 500MPaと増加させ、上記焼結温度で相対密度99.5%以上の焼結体製造を目指す。さらに、焼結体の組織を観察し、通常の焼結温度(800~1000℃)で得られた焼結体との比較検討を行う。順調に進めば、力学特性(硬さ試験、引張試験)の実施を予定している。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染症により、出張があまりなかったこと、高圧印加のための型設計を行ったが、型発注が次年度になったこと、型の破損が予定より少なかったことにより次年度使用額が生じた。本年度は前年度に設計した高圧型の購入や旅費などの使用を予定している。
|