2021 Fiscal Year Research-status Report
超高速広角レーザースキャナーに向けた新電気光学結晶の研究
Project/Area Number |
21K04714
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
今井 欽之 京都先端科学大学, 工学部, 教授 (70566695)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 屈折率変化 / 電気光学効果 / KTN / 蓄積電荷計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レーザー加工にも用いられる光スキャナを革新的に高性能化するための結晶材料を開発する。KTa1-xNbxO3 (KTN)という酸化物の結晶において印加した電界によって屈折率が変化する現象(電気光学効果)を利用し、従来の機械式スキャナよりも圧倒的に高速にスキャニング(偏向、光線の向きを変えること)ができる新型の光偏光器が近年開発された。しかしその一方、偏向の角度は10度程度以下であり、これがこのスキャナの用途を限定していた。KTNは実現できる屈折率変化Δnが他の結晶材料よりも一桁以上大きいが、偏向角度を一桁改善するためには、さらに一桁大きいΔnを実現することが重要である。 KTNのΔnが大きいのは、電界印加時に大きい分極を発生させることができるためであり、したがってΔnを改善するためには分極の増大が必要であり、これは誘電特性を改善することと言い換えることができる。このため、本研究の遂行のためには、KTNなどの結晶の誘電特性を精度良く測定することが必要である。また、必要な電界の印加のためには、数100 V以上の電圧を結晶試料に印加する必要があり、このような高い電圧を印加したままの状態で誘電測定が必要である。このような実験を行う方法として、結晶試料に適切なコンデンサを用いてバイアスを印加しつつ試料のキャパシタンスを測定する方法を想定していた。一方、試料の蓄積電荷計測を行う方法は、誘電率の定量をも包含したより幅広い解析が可能である。このため、予定していた高圧アンプの購入に変え、助成金では「IV-QV変換機」を購入し、これを中心として信号処理系とコンピュータを組み合わせた試料蓄積電荷計測系の立ち上げを行った。高圧アンプについては、別途導入済みのアンプでも代用が可能なことが判明した。立ち上げた蓄積電荷計測系により、電界印加時の結晶の分極が定量可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載したとおり、現在までに試料蓄積電荷計測系の立ち上げを完了しており、幅広い電界範囲において誘電特性を評価する環境は整っている。当初予定していたキャパシタンスの測定による誘電率定量を行う測定系では、誘電率のみしか得られない一方、今回立ち上げた蓄積電荷計測系では、分極の直接的な定量が可能であるなど、行える解析の幅が広いため、当初の計画以上に進展しているといえる。しかしその一方、研究計画に記していたKTN結晶の誘電特性の評価については、進捗が遅れているといえるため、全体的にはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶の誘電特性の評価のための測定装置については、当初予定していた装置とは少し異なる装置に変更して立ち上げを行った。しかし実際に立ち上げた装置は、予定していた装置で可能な誘電率評価も可能である。このため、今後の研究の進め方に大きな修正はない。2年目は、立ち上げた測定装置を用いて、KTN結晶の誘電特性とリチウム添加量との関係を検討する。
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Causes of Carryover |
これまでに述べたように、1年目に立ち上げる測定装置を変更したため、金額のずれが生じた。また、この測定装置の立ち上げにやや時間を要したため、KTN結晶の誘電特性の評価にやや遅れがある。本研究では、これまでに保有しているKTN結晶に加えて助成金で新たに結晶を購入して評価していく予定であるが、1年目はこの結晶の追加購入に至らなかった。この二点が次年度使用が生じた理由である。2年目以降、結晶の購入のスケジュールを微修正する予定である。
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