2023 Fiscal Year Research-status Report
格子欠陥エンジニアリングによるMg系ジントル相熱電材料の半導体特性制御
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21K04718
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
谷 淳一 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究室長 (20416324)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 熱電変換材料 / 格子欠陥制御 / ジントル相 / 薄膜 / スパッタ法 / パルス通電加圧焼結 |
Outline of Annual Research Achievements |
Mg系半導体は、資源豊富、軽量、安価であることから、熱電変換材料、太陽電池、赤外線センサーなどへの応用が期待されている。本研究課題では、Mg系ジントル相熱電材料の格子欠陥エンジニアリングに着目し、半導体特性制御のための、バルク・薄膜の加工技術の開発を行う。本年度は、パルス通電加圧焼結法を用いて、n型ドーパントの候補である希土類元素をドープしたMg3Sb2の合成を行い、その電気的特性について検討を行った。また、連続波Ybファイバーレーザを用いて、Mg3Sb2バルク材へのレーザ照射条件と電気的特性との相関を調べ、以下の成果が得られた。 1. Mg、Sb、希土類酸化物の混合粉末から1段階プロセスで緻密な希土類ドープMg3Sb2焼結体の作製に成功した。Ce2O3、Pr6O11、Nd2O3などの希土類酸化物を添加した場合、未ドープ試料よりも電子濃度が大幅に上昇し、希土類元素は+3の価数の状態でMgサイトに置換し、n型ドーパントとして機能した。一方、Sm2O3、Eu2O3、Yb2O3については、未ドープ試料よりも電子濃度が若干低下した。Sm、 Eu、 Ybの3元素については、+3の価数ではなく、+2の価数の状態でMg3Sb2中のMgサイトに置換されていると考えられる。 2. n型Mg3Sb2バルク薄片を5軸試料ステージに取り付け、真空中(3×10-2Pa以下)において、レーザ光照射(出力:5-10W、ビーム径:4.5mm)を10秒間行った。ホール効果測定の結果、レーザ光照射によりキャリアタイプがn型からp型に変化し、その正孔濃度はレーザ出力と相関関係があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Mg系ジントル相熱電材料の格子欠陥エンジニアリングに着目し、半導体特性制御のためのバルク・薄膜の加工技術の開発を行うことを目的としている。本年度は、希土類ドープMg3Sb2の合成に成功し、その成果を学会で報告した。また、Mg3Sb2バルク材へのレーザ照射条件と電気的特性との相関を解明することができ、おおむね当初の計画どうりに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、ファイバーレーザによるMg3Sb2半導体制御について、実験のさらなる条件検討、追試などを行い、学会や論文等で発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)熱電特性評価装置、ファイバーレーザ、計算機などの研究開発に必要な機器が老朽化しており、次年度に装置性能維持のための部材、実験の追試に必要な試薬等の消耗品、論文投稿のための英文校正費などが必要となった。 (使用計画)繰越金は、熱電特性評価装置、ファイバーレーザ、計算機の部材、実験の消耗品、英文校正費などに充てる予定である。
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