2023 Fiscal Year Annual Research Report
マルチパルス電析法を用いたハイエントロピー合金薄膜の創製と耐食性耐摩耗性評価
Project/Area Number |
21K04724
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
王 栄光 広島工業大学, 工学部, 教授 (30363021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 裕樹 広島工業大学, 工学部, 教授 (20211948)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハイエントロピー / 電析 / 有機溶媒 / 複雑反応 / 硬度 / 耐摩耗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイエントロピー合金(HEA)は、ほぼ等モル比の多種類元素からなる高い混合エントロピーをもつ固溶体である。その表面機能を低コストで実現するため、省資源や軽量化等の観点からバルク合金よりはむしろ薄膜合金が必要である。そこで本研究では、有機溶媒DMF‐CH3CN中にCrCl3、 MnCl2、FeCl2、CoCl2、NiCl2などの金属塩を溶かして浴液とし、銅基板にマルチパルス電位法(電位EL1=-2.0V, EL2=-2.5V, EL3=-3.0V)で電析を実施した。その後、電析膜の表面形態、成分、硬度および耐摩耗性を調べた。その結果、いずれの電位のパルス間隔(30ms, 300ms, 3000ms)でも、Cr、Mn、Fe、CoとNiを含む薄膜が銅基板に形成された。成分分析によると、いずれの薄膜にも酸素と炭素が多く含有されることがわかった。とくに、パルス間隔30msで形成した薄膜に、Cr、Mn、Fe、CoとNiの含有量がほぼ均等であり、高いイエントロピー(1.57R;Rは気体定数)をもっている。この薄膜のダイナミック硬さはパルス間隔300msと3000msで形成した薄膜より硬いが、銅板よりは柔らかい。耐摩耗性は上記の薄膜硬度に対応している。これは、皮膜の成分と原子配列構造に関係していると推測している。
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