2022 Fiscal Year Research-status Report
軽量・高強度・高減衰能を実現するチタン合金の革新的な組織設計指針の確立
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21K04726
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
万谷 義和 鈴鹿工業高等専門学校, 材料工学科, 准教授 (40367256)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チタン合金 / 高減衰能 / 合金組織設計 / 高強度化 / マルテンサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、Ti-(10-20)mass%Nb合金の焼入れ準安定マルテンサイト組織の加熱や引張ひずみを加えた場合の実験結果から、構造変化に関する考察を深めた。 DSC測定では、Ti10NbとTi15Nbのα’マルテンサイトでは明瞭な発熱ピークは生じなかったもの、Ti15Nbでは高い温度までブロード化した。一方、Ti18NbとTi20Nbではα”マルテンサイトが分解するときに発熱ピークが生じた。Ti15Nbの圧延材では発熱ピークが生じ、Ti18NbとTi20Nbでは発熱ピークのブロード化が生じた。 XRD測定では、応力負荷後の残留応力の蓄積、結晶方位の変化、単位体積の収縮が確認された。また、Ti10Nbのα’マルテンサイトはhcpが安定な方向に構造変化し、Ti15Nbのα’マルテンサイトではα”マルテンサイトへ相変態する方向に変化することが確認された。 ヤング率及び内部摩擦の変化については、373Kまでの加熱・冷却においてα’マルテンサイト組織のTi10NbおよびTi15Nbでは繰り返しによる変化は少なかった。一方、Ti18NbおよびTi20Nbでは、初期加熱において変化が生じることが分かった。これらの結果より、加熱や塑性変形による格子定数変化、二相化、結晶方位変化などの構造変化により、材料特性が変化しているものと推測される。 また、Ti20NbにAlを添加したTi-20Nb-(1,4,7)Al合金の結晶構造と材料特性の関係を明らかにするため、各合金を作製してX線回折による格子定数の測定、負荷除荷繰り返し引張試験、ヤング率及び内部摩擦測定を行った。さらに、Ti15Nbにガス窒化焼入れプロセスを施し、金属組織と材料特性に関する評価も行い、加工・熱処理条件による減衰能の向上と安定性の維持、機械的性質とのバランスについて検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ti-(15,18,20)mass%Nb合金の焼入れ準安定マルテンサイト組織の加熱や引張ひずみを加えた場合に対する構造変化についての検討を進めたことから、減衰能の向上と安定性の維持に関する基礎的知見を深めることができた。これまでに測定したTi-18Nb-(1,4,7)Al合金のマルテンサイト組織の実験データに加えて、Ti-20Nb-(1,4,7)Al合金のマルテンサイト組織に対して評価する実験データの取得も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Ti-Nb-Al合金の比較評価を進めてくため、今後はTi-15Nb-(1,4,7)Al合金を作製して評価を進めていく。一定のデータがそろってから、ベースとなるTi-Nb合金はTi-(15,18,20)Nb合金のどれが適しているか、またAlの添加量はどの程度がよいかを評価していくことによって、効率的に研究を推進していく。そのプロセスの中で、減衰能の向上と安定性の維持、機械的性質とのバランスについて系統的に調べ、高減衰能の発現メカニズムを解明していく計画を立てている。
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Causes of Carryover |
年度当初計画していた旅費、研究補助謝金、装置修理費用などが、当該年度では使用する機会が生じなかった。2023年度は円滑に研究を進められるよう、必要な物品費として使用するとともに、旅費、研究補助謝金、投稿論文費として使用させていただく計画を立てている。
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