2021 Fiscal Year Research-status Report
周波数変調型原子間力顕微鏡を用いたアルミニウムイオン還元時の界面構造解析
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21K04734
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 幹人 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00292053)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 吸着イオン / アルミニウム / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
電場の有無によるアルミニウムイオンの電極界面における分布を調べるため、基礎データとして、塩化アルミニウム6水和物(AlCl3・6H2O)を用いて0.1M水溶液を調製し、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)上のアルミニウムイオンの吸着特性を調べた。 純水または調製した水溶液をHOPG上に滴下し、原子間力顕微鏡(AFM)カンチレバーを液滴の中に入るように設定し、コンタクトモードでフォースカーブ(FC)測定を行った。FC測定で得られるデータは、カンチレバーがそれぞれの位置でチップの先端が受ける反力の値である。純水の場合は、HOPG上に吸着する水分子の斥力を測定する事となり、AlCl3水溶液の場合は、水分子の他にアルミニウムイオンの斥力も測定していると考えられる。 測定結果から、純水の場合はHOPG基板にカンチレバーの探針が到達するまでに1段階のギャップがあったが、AlCl3水溶液の場合は、それが二段階になっていた。さらに詳細な解析の結果、その二段のギャップはHOPG基板から1nmの距離の範囲で観察され、おそらく水分子と水和したアルミニウムイオンの大きさに対応しているものと考えられる。 これまでの報告によれば、水和したアルミニウムイオン[Al(H2O)6]3+の大きさは直径にして0.66nmと推定している例もあり、サイズとして1nm以下で2段階のギャップがあることは、妥当な測定結果と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で移動の制限や物流の遅延が生じ、実験の進行は少し滞る状況にある。しかし、当初の予定の液体中のイオンのフォースカーブが測定でき、基板上の吸着分子の距離に変換できるまで進ところまで到達したので今後は研究を加速させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、イオン液体のアルミニウムイオンに対してのフォースカーブを測定し、電場の有無についても調べ、界面におけるアルミニウムイオンの分布の理解を深めたい。 そのためにはイオン液体が吸湿性であるので、水分をコントロールした環境で実験および測定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が0より大きくなっているのは、前年度に発注した原子間力顕微鏡に組み込むイオン液体専用の容器の納品に時間を要しているためである。これが納品されれば、ほぼ今年度の予算になるため、計画通りに使用を予定している。
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