2021 Fiscal Year Research-status Report
鋼板上に形成した酸化膜の熱浸透率の高温測定と鋼板冷却の沸騰現象に対する理解
Project/Area Number |
21K04735
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 理恵 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (00372459)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熱浸透率 / 酸化スケール / ホットストリップ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱浸透率は,温度の異なる2つの物体が接触した時の界面温度を与える.これを鉄鋼製造の熱間圧延工程における鋼板の水冷却に当てはめる.熱浸透率から水が鋼板に直接接触するときの界面温度が予測でき,鋼板製造の温度制御ひいては鋼製品の高品質化につながる.酸化スケールの熱浸透率は,これまで報告例はほとんどなく,応募者らがホットストリップ法を用いて測定した例のみである. ホットストリップ法の利点は,酸化スケールを鋼板と一体としてスケールの形状を保ったまま測定できる点にある。一方で、試料とヒータの間の界面熱抵抗を低減するために熱伝導性グリスを塗布し,バイスで押さえつけているため,①高温測定できない.②割れやすいスケールには適用できないといった問題点がある。本研究では応募者が使用しているホットストリップ法を改良して高温化をはかることを目的とした。 ストリップヒータ箔と試料間の熱抵抗を低減するために、ヒータと試料間に白金ペーストを用いることとした。合わせて、ヒータ材質も白金に変更した。試料として溶融石英を用いた。白金ヒータを用いると抵抗が小さく、ヒータの温度上昇が小さいことが予想されたが、十分に検出可能であることが分かった。従来のヒータとグリスを用いた場合、白金ヒータとグリスを用いた場合、白金ヒータと白金ペーストを用いた場合でそれぞれ溶融石英の熱伝導率を測定した。その結果、測定のばらつきの範囲内で、一致したデータが得られることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、ストリップヒータとして箔ではなく白金スパッタ膜を利用する予定であった。しかしながら、溶融石英を測定したところ想定よりも大きな熱伝導率が得られた。この原因を白金膜とサンプルとの間に施したNi膜の影響ではないかと考えた。そのため、すべて同じ材質として、白金箔と白金ペーストでヒータを形成することにした。従来のヒータとグリスを用いた場合、白金ヒータとグリスを用いた場合、白金ヒータと白金ペーストを用いた場合でそれぞれ溶融石英の熱伝導率を測定した。その結果、測定のばらつきの範囲内で、一致したデータが得られた。グリス不要の測定方法であることを室温で確認でき、ヒータの作製方法を変更して本年度の目標を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ホットストリップ法にPt箔ヒータを用いて、熱浸透率測定を高温で行い、室温~1000℃での測定が可能であることを確認する。ヒータは白金ペーストを1000℃程度で焼成して形成するため、1000℃以下で相変化が起きない酸化スケールのサンプルを利用する必要がある。Si-Fe合金で酸化スケールが上の条件に見合うものを作製し、計測を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初は白金スパッタを利用する予定だったが、実際には白金箔を利用することとなった。また、予定していた学会発表がオンラインになった。そのため、次年度使用額との差が生じた。次年度は、所属が変更になるため、シミュレーションソフトウエアを新規購入する必要がある。その費用に充てる。
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