2021 Fiscal Year Research-status Report
硫安ーメタノールストリップ新法を応用した革新的バナジウム電解液製造プロセスの開発
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21K04745
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 博 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (70197169)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バナジウム / ニッケル / 硫酸アンモニウム / 硫酸浸出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,製油所で発生する大量の燃焼灰中に含まれるバナジウム,ニッケルに着目し,申請者らが新規に開発した硫酸アンモニウムとメタノールを用いるバナジウムの精製技術を基にボイラー燃焼灰からバナジウム,ニッケル資源を生産す る革新的プロセスの開発を行うと共に,これら技術の社会実装を目指すことを目的とする。 今年度は,まず初めに硫酸水溶液におけるバナジウムイオンの最大浸出濃度(飽和濃度)を実験的に測定し,最適な燃焼灰濃度の決定を行った。その結果,燃焼灰の濃度が300 g/L 程度で浸出したバナジウムの濃度は飽和に達するものの,ニッケルの濃度はこのスラリー濃度では飽和濃度に達しないことが明らかとなった。 次に,燃焼灰中に比較的多く含まれるバナジウムとニッケルを選択的に浸出することを目的として,硫酸アンモニウムを硫酸水溶液に添加した系で浸出を行い,両金属イオンの浸出挙動を追跡した。このように,硫酸アンモニウムを添加した系で硫酸浸出を行う場合,ニッケルイオンの硫酸水溶液中への溶解度を下げることが期待され,結果としてバナジウムイオンがリッチな溶液を得ることが可能になると考えられる。また,バナジウムを浸出した燃焼灰残渣に対し,硫酸アンモニウム濃度を低下させるため蒸留水で浸出を行うと,バナジウムの浸出は抑制されるもののニッケルイオンの浸出濃度が増加し,結果として2段浸出を行うことでそれぞれ組成の異なる浸出液が得られるものと期待される。 実際に上記操作を行って燃焼灰の浸出を行ったところ,1段目の浸出ではバナジウムリッチな浸出液が,2段目の浸出ではニッケルリッチな浸出液が得られ,前期2段浸出法により選択的な金属の浸出が可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験で使用した燃焼灰は比較的化学的に安定であったこと,ならびに,灰分中の含有量にさほどばらつきがみられず,扱いやすい試料であったことが主な要因として挙げられる。また,分析についても,ターゲット金属に関しては比較的順調に進み,試行錯誤の時間を多くあてる必要がなかったことなどが主な理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,2段浸出法の最適条件の探索ならびに,浸出液に対して硫酸アンモニウムーメタノールストリップ法を適用し,バナジウムの粗分離に関する検討に進む予定である。
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Causes of Carryover |
1年目は,マルチメーターならびにエバポレーターの購入を予定していたが,別の研究テーマにて上位互換の機種を購入して共有することが可能となったため,結果的に設備備品費が圧縮された。 2年目はHPLCの増設を行う予定でいることから,圧縮分を分析機器の拡充に充当する予定である。
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Remarks |
化学工業日報,2021年5月28日版 記事掲載
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Research Products
(1 results)