2023 Fiscal Year Annual Research Report
温度によって目開きを変えられる分子篩吸着剤の合成とそれを用いた分離法の開発
Project/Area Number |
21K04746
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
村上 賢治 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (10272030)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 温度応答性高分子 / 吸着剤 / ヒドロゲル / 分子篩 / 有機無機複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)と架橋剤であるN, N’-メチレンビスアクリルアミド(BIS)から構成される温度応答性高分子PNIPAMヒドロゲル(PNHG)をメソポーラスシリカ(MS)吸着剤表面へ固定化したPNHG-MSを合成し,そのメチルオレンジ(MO)吸着能の温度依存性に及ぼすNIPAM,BIS添加量の効果を検討することを目的とした。 0.4 gのMSに対して,NIPAM添加量を0.4~1.6 g,BIS添加量をNIPAMに対して1,5 wt%としてPNHG-MSを合成した。いずれのPNHG-MSでも,そのXRDパターンには,六方晶系に由来する回折線が見られたことから,MSにPNHGを固定化しても,MSの結晶構造は破壊されないことが分かった。熱重量分析から,PNHG固定化量はNIPAM添加量やBIS添加量の増加と共に大きくなり,34~67 wt%であることが分かった。 MO吸着速度の解析を行ったところ,いずれの条件でも擬二次速度式に従うことが分かった。そこで,擬二次速度式のフィッティングによって求められた飽和吸着量と吸着温度の関係を検討した。全ての試料で吸着温度の上昇に伴う飽和吸着量の単調な減少が見られた。このことは温度が高いほど,MSの細孔入口近傍に存在するPNHGが収縮し,MOが吸着サイトに到達できなくなっていることを示唆している。その効果はBIS添加量5 wt%の場合よりもBIS添加量1 wt%の場合の方がよりはっきりと認められた。また,NIPAM添加量も飽和吸着量に大きな影響を与えていた。このように,吸着温度を変えることで,吸着質の吸着量を制御できる複合吸着剤の合成に成功した。
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