2021 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of novel adsorbents for cesium ion and development of a process for treating polluted water
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21K04755
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山本 拓司 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (30358288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 翔悟 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (40844270)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レゾルシノール・ホルムアルデヒド湿潤ゲル / セシウムイオン / 固定層吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
セシウムイオン(Cs+)に対する吸着剤として優れた性能を示すレゾルシノール・ホルムアルデヒド湿潤ゲルビーズ(RFGBs)の適当な合成条件を明らかにするとともに,RFGBsのCs+に対する吸着等温線と固定層吸着破過曲線をそれぞれ測定することでRFGBsの吸着性能を評価した。以下,課題①および②の2021年度の実績概要を記載する。また課題③では2022年度以降にRFGBsの最適な細孔構造に関する知見を得るための窒素ガス吸着実験を予定しているので,今年度は凍結乾燥装置を構築するとともに,窒素ガス吸着真空式前処理装置を本科研費で購入した。
【課題①:セシウムイオンの高速拡散に適したレゾルシノール・ホルムアルデヒド湿潤ゲルビーズ(RFGB)の細孔構造設計】固定層吸着によって測定した吸着破過曲線をモデルフィッティングにより数値解析することで,RFGBsにおけるCs+の粒子内有効拡散係数(Ds)を決定した。見積もったDsの値は本研究に先立って予測した値と一致することを確認し,Cs+がRFGBsにイオン交換によって吸着される機構であると結論した。
【課題②:均一粒子径を有するRFGBの新規合成方法の開発】RFGBsの合成のため,逆相乳化重合法と,市販の多孔質セルロースビーズを支持体として用いる方法をそれぞれ検討した。逆相乳化重合法ではRF水溶液(分散相)とシクロヘキサン(連続相)との体積比率,シクロヘキサンに添加する界面活性剤の濃度,RF水溶液の反応時間などの合成条件を変えて実験を実施し,粒子径分布への影響を明らかにした。セルロースビーズを用いる方法では前述の条件に加えて,支持体の粒子径分布を変えて実験を実施した。その結果,粒子径分布の変動係数(Coefficient of Variation, 以下CV)が10%程度の均一な粒子径分布を有するRFGBsの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由により,課題①および②ともに当初の研究計画に従っておおむね順調に進展している。
【課題①】今年度は固定層吸着のための実験装置を構築することが最も困難な課題であったが,ポンプからの送液速度の微調整・カラムへの吸着剤の充填手順の工夫などの技術的課題の解決の結果,当初計画通り固定層吸着曲線を測定しデータを取得するに至った。また,固定層吸着破過曲線(packed-bed adsorption breakthrough curve, 以下BTC)の解析のための数値計算環境を構築し,計算したBTCを実験データにフィッティングすることでRFGBs粒子内部でのCs+の有効拡散係数(Ds)の値を1.0×10-12 m2/sと決定した。この結果により固定層吸着装置のスケールアップや設計が可能となった。
【課題②】逆相乳化重合法と,市販の多孔質セルロースビーズを支持体として用いる方法を検討した結果,粒子径分布への合成条件の影響を明らかにし,粒子径分布のCVが10%程度と従来よりも均一な粒子径分布を有するRFGBsを合成した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究実施の結果,各課題においてそれぞれ以下のような方策で進める必要があると考えている。
【課題①】2021年度に構築した凍結乾燥装置を用いて,2022年度にはRFGBsの最適な細孔構造を決定するため,凍結乾燥したRFGBsの細孔特性を窒素吸着実験によって評価する。これらの実施により得られた知見をもとに課題③へと展開する。
【課題②】2021年度の実験の結果,CVをさらに小さくし,より均一な粒子径を有するRFGBの合成には低温で逆相乳化重合の反応速度をより精密に制御する必要があることが判明した。現有設備には低温でのプログラム機能が付属しておらず,高精度での温度制御ができないため,2022年度にはプログラム精密低温恒温水槽を購入し,温度制御の高精度化を実現することで,合成手順の改良を目指す。
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