2021 Fiscal Year Research-status Report
Measurement and correlation of viscosity and diffusion coefficient for dense fluid mixtures
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21K04756
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
船造 俊孝 中央大学, 理工学部, 教授 (60165454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孔 昌一 静岡大学, 工学部, 教授 (60334637)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 拡散係数 / 混合流体 / 測定 / 推算式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は高圧混合流体の粘度と液体中の拡散係数測定データの蓄積とその推算のための相関式を開発することである。具体的には、(1)高密度混合流体中への溶質の相互拡散係数測定、(2) 高密度混合流体粘度の推算方法の確立、(3)低密度気体から高密度液体まで広い密度範囲に適用可能な拡散係数推算式の開発、(4)高密度混合流体中への拡散係数推算式の開発の4項目からなる。 初年度は上記の(1)(2)(3)の項目について実施した。(1)についてはTaylor法を用い、CO2+hexane, CO2+decaneの混合溶媒について温度40~70℃、圧力10~20 MPa、CO2モル分率0~1の範囲で、溶質としてbenzeneとvitamin K3について測定した。拡散係数は溶媒の組成ごとに両対数プロットで溶媒密度と直線関係が得られた。 (2)についてはCO2+有機溶媒の粘度データの推算として、Eyring理論をベースとして、PC-SAFT状態式を用いて、過剰自由エネルギーと粘度の関係式を用いる推算法を開発した。有機溶媒として直鎖炭化水素類やモノアルコール類についてCO2+有機溶媒混合流体の粘度を精度よく推算できた。 (3)については、混合系に適用できる推算式のベースとなる純CO2中における金属錯体(acetylferroceneとdiacetylferrocene)について、CIR法で拡散係数と保持因子を313~373 K, 11~26 MPaの範囲で測定した。これまで各種溶質についての拡散係数測定データは超臨界抽出プロセスを念頭においたため、70℃以下の比較的低い温度での測定であった。しかし、超臨界流体堆積法ではより高い温度域のデータを必要とし、また反応速度の決定には精度の高い拡散係数が不可欠であるが、両金属錯体の拡散係数測定値は両溶質とも流体力学相関式を用いて4~5%の精度で相関できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究項目のうち、(1)~(3)までは着手し、次年度も継続して測定データの蓄積あるいは適用する対象の系を増やす。測定は既往の測定装置を改良し、CIR法とTaylor法の両装置の健全性が確認できた。 CIR法の装置の健全性の確認として溶質分子量が大きなtriolein(モル質量 885 g/mol)の超臨界CO2中の拡散係数を測定した。これまでの知見として、CIR法やTaylor法では溶質の分子量が大きくなるほど、2次流れの影響が顕著になり格段に測定が難しくなるが、改良した装置を用いて精度良く測定できた。測定値も流体力学相関式で精度よく推算できた。 これまで超臨界二酸化炭素中(scCO2)の拡散係数の測定値はいずれも70℃以下であり、種々の溶質について流体力学相関式で精度よく相関できるので、当初、文献には高温域のデータはなかったが、高温域データについても流体力学相関式で問題なく相関でき、混合溶媒系について純溶媒と同様と考えていた。しかし、高温になるほど、より低粘度域で流体力学相関式より大きくはずれることが判明した。よって、混合溶媒のほかに高温域の純溶媒データも必要になったため、Cr(acac)3について150℃まで測定した。Pt(acac)2はCr(acac)3より熱安定性が優れているので、次年度は他の溶質、例えばPt(acac)2について、Cr(acac)3と同様な挙動を示すか、確認のためと相関式作成のもととなる高温域の測定データの蓄積を図る。流体力学相関式の適用限界がはっきりしたので、流体力学相関式を候補か除外した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目(1)については引き続き、他の有機溶媒のCO2との混合溶媒系について、継続して測定する。 (2)については、より多くの混合溶液の粘度データがある常圧における粘度データの推算についても推算法の精度を検証する。これまで直鎖炭化水素やモノアルコールについて、Eyring定数はそれぞれ炭素数に比例したが、他の化学種についてもEyring定数を決定する。 (3)について、Cr(acac)3と比べてより高温で安定なPt(acac)2錯体の拡散係数をCIR法を用いて測定する。特に、流体力学相関式より外れる領域はgas-like超臨界の領域と予想されるので、Pt(acac)2についてもCr(acac)3の場合と同様であるか確認する。また、溶質として金属錯体以外にAnthraceneなど金属原子を含まない有機化合物についても測定する。 (4)について、これまでに測定したCO2+hexane, CO2+decane中における拡散係数値を用いて、Schmidt数による相関式が適用できるか検討する。ここで、推算精度に直接かかわる、混合溶媒の細密充填体積をどのように表すかが問題になるが、van der Waals径や剛体球径、また種々の理論モデルの分子径など、粘度や熱伝導率データも用いて検証する。
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Causes of Carryover |
装置改良のためのセンサー類は外国製品を予定していたが、該当品が入手困難なったためと、自作による装置改良で既往の部品で代用できたため、減額できた。減額分を次年度薬品類の購入に充てる予定である。
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Research Products
(11 results)