2021 Fiscal Year Research-status Report
Monolithic Electrodes for Redox Capacitors Developed by Using an Efficient Process
Project/Area Number |
21K04762
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩村 振一郎 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10706873)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 反応プロセス / ナノ材料 / エネルギーデバイス / 炭素材料 / 化学気相析出法 / モノリス成形 / ナノ粒子担持 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レドックスキャパシタ用電極材料への利用に向けたモノリス状多孔質炭素を担体とした金属酸化物とのナノ複合材料を簡便な設備・手順で製造する技術の開発を目指す。これに向けて細孔構造を任意に制御した多孔質炭素モノリス担体に、申請者の開発した多孔体内部の原料拡散状態を制御する独自のCVD法や電析法を活用することで金属酸化物をモノリス体内部にナノレベルで均一な担持を行う。得られた材料の構造最適化を図り、電極特性のさらなる向上を目指す。令和3年度は炭素担体の構造制御と独自のCVDによる鉄ナノ粒子担持に向けた検討を進めた。 モノリス電極の炭素担体は十分な表面積、細孔容積を有していることに加えて、モノリス全体を効率的に活用するために十分に薄くする必要がある。そこで、研究代表者らが以前より取り扱っているカーボンゲルについて、前駆体樹脂をモノリス状に成形する手法を再検討した。この結果、厚さ200μm程度で十分な強度を有するモノリス体に成形することに成功した。このモノリス体は粉末カーボンゲルと同様の細孔構造を有していたことからモノリス担体としての利用が期待できる。 また、レドックス反応できる鉄酸化物のナノ粒子を多孔体内部に簡便に担持する技術の開発に向けて、VLP―CVD法の用途拡大を図った。VLP-CVD法に適用可能な鉄前駆体として、比較的低温で昇華するフェロセンを用いた。フェロセンをベンゼンに溶解させた溶液を原料として多孔質炭素を設置した高温の反応管に液パルス状に導入したところ、炭素細孔内部に径が数nmの鉄ナノ粒子の担持に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で目的としているモノリス状レドックスキャパシタ電極を開発するためには、担体である多孔質炭素モノリスの細孔構造や形状を電極用途に向けて最適化することが必要である。今年度成果により、モノリス担体の形状を厚さ200μmまで薄膜化することが可能となり、電極用途に使いやすいモノリス状多孔質炭素が得られるようになった。また、これまで気相で無機物質を担持するプロセスである減圧液パルス化学気相析出法では金属アルコキシドを原料としたTiO2の担持など適用範囲が限られていた。今年度の検討によりフェロセンを原料とすることにより鉄や鉄酸化物を担持することが可能になった。鉄は電気化学的にレドックス反応を行うことができることに加え、触媒など様々な用途に用いることができる金属である。このため、レドックスキャパシタ電極開発において材料設計の可能性が広がったといえる。以上のことから、今年度の進捗状況として「おおむね順調に進行している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
R3年度の成果より、担体である多孔質炭素モノリスが簡便に得られるようになり、VLP-CVD法により鉄(酸化物)のナノ粒子を担持することが可能となった。そこで、R4年度は多孔質炭素モノリスの構造制御性をさらに向上させることを検討するとともに、これを担体としてレドックス種を複合化する検討を進める。担持するレドックス種としては、従来より検討を進めているTiO2とともに、今年度の成果により担持可能となった鉄系のナノ粒子を並行して検討を進める予定である。さらに得られた複合材料の簡易的な電極特性評価も行い、担持したレドックス種の電気化学的な活性を評価する予定である。
|
Causes of Carryover |
本研究ではナノ複合材料製造に必要な実験装置を新たに開発すること想定して予算を計上していた。R3年度で検討を進めた鉄ナノ粒子の担持プロセスは、これまで保有している実験装置を用いることでおおむね実施することができた。予定していたモノリス担体への担持プロセスに向けた新たな実験装置の製作はR4年度より本格的に検討を進める予定である。
|
Research Products
(8 results)