2021 Fiscal Year Research-status Report
紫外光・可視光を反応に、赤外光を物質移動に活用する光触媒二酸化炭素改質反応器開発
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21K04769
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西村 顕 三重大学, 工学研究科, 准教授 (60345999)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光触媒 / CO2改質 / 黒体材料 / 物質移動促進 / 反応促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,地球温暖化や化石燃料枯渇といった問題が深刻化している.本研究ではこの2つの課題解決のための一提案として,光触媒(TiO2)を用いてCO2の燃料種(CO,CH4)への改質を行う.しかしながら,TiO2のCO2改質性能は低く,実用化にはさらなる性能向上が必要である.そこで本研究では,光触媒反応での生成物が光触媒近傍に滞留し,逆反応および被反応物が光触媒表面に移動できないことによる生成物濃度低下,CO2改質反応の燃料生成プロセスである還元反応の際に必要とされるH+の供給剤の最適化が性能向上に必要ということに着目した.以上の2点の研究課題を解決することでCO2改質性能向上条件を決定することを本研究の目的とした. TiO2光触媒下部に黒体材料を配置し,赤外光吸収を利用した輻射熱で光触媒近傍に自然対流を生じさせて物質移動促進によるCO2改質性能向上を図ることとし,その効果を検証した.その際に,黒体スプレーでCu円板に噴射して作製した黒体材料の枚数を0枚,1枚,3枚と変化させて,その影響を評価した.さらにH+供給剤にNH3もしくはH2Oを用い,CO2とのモル比がCO2改質性能に及ぼす影響も評価した.以下にその結果をまとめる. TiO2薄膜について CO2/H2O系およびCO2/NH3系でCO2改質実験を行った.その結果,CO2改質による生成燃料としてCOが得られ,CO2/H2O系および CO2/NH3系の両方の結果からCO最高生成濃度が得られたモル比条件は黒体材料3枚でのCO2:NH3=3:2であり,この時のCO生成濃度は238ppmVとなった.CO2/NH3系およびCO2/H2O系で,黒体材料0枚や1枚と比べて黒体材料3枚の時にCO最高生成濃度が得られ,黒体材料を3枚配置することで蓄熱量および輻射熱量が増加し,赤外光を利用した物質移動促進によりCO2改質性能が向上した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では1年目に、TiO2に可視光吸収金属を担持させて、紫外光、可視光応答光触媒を作製し、その光触媒を用いて物質移動促進の効果を検証する予定であった。しかしながら、まずは物質移動促進効果の検証を重視し、TiO2を用いた黒体材料組み込み反応器を開発し、CO2/H2O系およびCO2/NH3系でモル比を変化させ、かつ黒体材料の設置枚数も変化させて黒体材料を用いることによる物質移動促進効果の検討を行った。その結果、黒体材料1枚では効果がなく、3枚で効果があること、およびCO2/H2O系、CO2/NH3系いずれについても黒体材料設置の効果が得られることが確認された。 これらの黒体材料組み込み反応器の開発および黒体材料設置の効果の検証は、研究計画の2年目に予定していたことであり、総合的に判断して「おおむね順調に進展している」と評価した。 2年目には可視光応答光触媒を作製し、1年目に確立した黒体材料組み込み反応器による実験技術と組み合わせて、その効果を検証する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように、2年目には、リン、Cuなどの可視光もしくは赤外光までを吸収する材料をTiO2に担持して可視光もしくは赤外光応答光触媒を作製し、1年目に確立した黒体材料組み込み反応器による実験技術と組み合わせて、その効果を検証する予定である。CO2/H2O系およびCO2/NH3系でモル比を変化させて、CO2からの燃料生成性能が最も良い条件を検討する。さらには、黒体材料も変化させて、よりCO2からの燃料生成性能の高い条件を模索する。
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Research Products
(2 results)