2021 Fiscal Year Research-status Report
活性点が構造制御されたナノ炭素材料の合成法と解析法の確立
Project/Area Number |
21K04773
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 泰弘 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90546780)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 炭素材料 / 構造制御 / 構造解析 / ピリジニック窒素 / ピロール窒素 / 5員環 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェンなどの炭素材料の性能を飛躍的に向上するためには、炭素材料中に存在するエッジやヘテロ元素などといった活性点(または欠陥)を選択的に導入することが求められる。しかし既存の活性点の導入法では、複数種の活性点が導入されており、特性の向上が困難な状況にあった。本研究では、これらの活性点(ピリジニック窒素やピロール窒素、5員環等)を選択的に導入したナノ炭素材料の合成や、類を見ない高精度構造解析法の確立を目指した。活性点が選択的に導入された炭素材料の合成においては、原料の骨格構造の反応性や、反応性の高い官能基を導入することにより、原料を減圧下で加熱するシンプルな方法で、高活性が期待できるピリジニック窒素やピロール窒素、5員環等とその周辺構造が構造制御されたナノ炭素材料を合成した。本研究では、炭素材料の構造制御に求められる原料構造構造を明確化するため、それに関連する分析技術を、種々の分析(赤外分光分析(IR)、Raman分光分析、元素分析、X線光電子分光分析(XPS))に加えて、密度汎関数法による計算や、反応分子動力学計算などを組み合わせ、確立し始めている。本研究成果の一部は、論文として4件Acceptされており(J. Mater. Sci. 57 (2022) 7503-7530, Carbon 185 (2021) 342-367, J. Mater. Sci. 56 (2021) 15798-15811, J. Mater. Sci. 56 (2021) 15698-15717)、炭素材料学会や酸化グラフェン研究会でも発表を行った。その他、特許も2021年度には2件出願している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ピリジニック窒素やピロール窒素、5員環等を含む制御率が高い炭素材料の合成が触媒を使用することなく合成可能となった。また、含酸素官能基を含む炭素材料の合成は触媒を利用することにより達成された。これらについては学会発表を行い、さらにこれらの内一部は論文となっている(J. Mater. Sci. 57 (2022) 7503-7530、56 (2021) 15698-15717)。本研究に関係するX線光電子分光分析による含窒素炭素材料の詳細な構造解析技術の確立を行った。この成果により、ナノ炭素材料の構造を前例がないほど詳細に解析することができるようになった(Carbon 185 (2021) 342-367、J. Mater. Sci. 56 (2021) 15798-15811)。また、赤外分光分析やラマン分光分析と反応動力学計算を組合わせて含窒素炭素材料の構造解析の精度を大幅に向上した(J. Mater. Sci. 57 (2022) 7503-7530、56 (2021) 15798-15811)。
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Strategy for Future Research Activity |
炭素材料の活性点の構造制御状態をさらに高められるように、可能性のある原料を数多く炭素化し、活性点の構造制御状態を種々の分光分析と計算により詳細に解析する。数多くの原料を炭素化して加熱することにより、活性点の構造制御に求められる原料構造の必要条件を明確化し、今後の原料選択のための基礎データを蓄積する。現在のところ、研究計画の変更や研究遂行上の問題点は見つかっておらず、順調に研究が進展している。
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Research Products
(23 results)