2023 Fiscal Year Annual Research Report
孤立貴金属の特異な局所状態を利用した窒素酸化物還元サイトの創出
Project/Area Number |
21K04775
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 勝俊 名古屋大学, 工学研究科, 特任准教授 (30586607)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 窒素酸化物 / 孤立貴金属 / 電子状態 / 合金 / タンデム配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の電動化の流れの中にあっても排ガス浄化触媒は自動車にとって重要な技術の一つである.本研究では,ごく少量の貴金属を汎用金属の結晶格子中に原子レベルで孤立させることによって特異な構造および電子状態を発現させ,これを窒素酸化物(NOx)の吸着・活性化を効率的に進める活性サイトとして展開することで,酸素過剰雰囲気下のでも優れたNOx還元活性を示す触媒を開発することを目的とした. 最終年度は,ここまでの検討で酸素過剰雰囲気でのモデル反応に対して最も優れたNOx還元活性を示したCo-Pt系の検討を進めると共に,汎用金属担体でも比較的高いNOx還元活性を示したCuを併用することで,NOX還元性能を更に高めることを検討した.種々の調製方法を検討したが,いずれの場合でもPt-Co,Cuのそれぞれの性能を超えるには至らなかった.STEMやXRD等を用いた解析を行った結果,Pt,Co,Cuを同一基板上に担持した場合,凝集したPtリッチなPt-Cuの合金構造が優先的に形成されることがわかった.これによりPtの孤立金属種としての機能が失われてしまうことが活性低下の原因だと考えられる.そこで,Pt-CoとCuをそれぞれ別の基盤に担持し,これを触媒層内に混合して配置することで相乗作用の発現を狙った.検討の結果,それぞれの触媒を直列に配置するタンデム型において,優れた触媒活性が発現することを見出した.これは,比較的低い酸化燃焼活性を有するCu種が部分的に酸化したHC種を生成し,Pt-Coへ還元剤として効率的に供給したことが原因であると考えられる. 研究期間を通じて,当初予定していた実施計画は概ね順調に完了する事ができた.一連の取り組みによって,目的であった「酸化雰囲気下で高い活性を示すNOx還元サイトの創出」についても一定の方向性を見出すことができたと考えている.
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