2022 Fiscal Year Research-status Report
The development of metal-nonmetal alloy nanoparticles for the hydrogenation of lignocellulose
Project/Area Number |
21K04776
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 渉 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50700150)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | リグノセルロース / 水素化 / 協同触媒作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、精密に形状制御されたリン化金属ナノ粒子触媒の設計・開発とバイオマス由来リグノセルロースの高効率水素化分解への応用である。天然に豊富に存在するリグノセルロースの必須資源化は、化石燃料の代替法を確立する上で非常に重要な研究領域である。そこで、温和な条件下での水素化分解を実現することにより、既存の水素化分解プロセスを置き換える画期的な環境低負荷型水素化手法を提案する。 リン化金属ナノ粒子を様々な機能性材料と複合化させ、まずはモデル反応基質に対する水素化触媒性能を評価した。層状複水酸化物であるハイドロタルサイトに分散担持したリン化ニッケルナノ粒子触媒(nano-Ni2P/HT)を開発し、世界で初めて非貴金属触媒による常温または常圧水素下でのグルコースの高効率な還元反応を実現した。nano-Ni2P/HTの触媒回転数は世界最高値を示し、既存の工業触媒であるRaney Niに比べ800倍以上高く、貴金属触媒であるRu/Cをも上回る。この高い触媒性能の発現は、nano-Ni2PとHTとの複合界面において、水素分子および糖のカルボニル基をそれぞれ活性化する多元素協働触媒作用に起因している。また、nano-Ni2Pは0価に近い価数をもつにも関らず、空気中で安定に取り扱うことが可能であり、工業触媒として利用されるRaney Niのような発火性もなく、空気中での取り扱いも容易な安全な水素化触媒となり、触媒の回収・再使用も可能である。このように、リン化ニッケルナノ合金と酸化物担体を複合化したハイブリッド金属ナノ結晶では、界面サイトで特異な協働触媒機能が発現し、その触媒作用を活かすことで様々な分子変換反応を極めて高効率に進行させることが出来る。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、高効率に糖類の水素化反応を進行させる高活性な触媒開発に成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
セルロースはグルコースがα-1,4結合を介して連なる高分子であり、水素結合に基づく強固な構造を有する。セルロースからソルビトールへの変換には、糖同士を結ぶグリコシド(炭素-酸素)結合の開裂及びグルコースの水素還元を連続的に行う必要がある。そこで、酸性質を持つ酸化物(ゼオライト、アルミナ等)を担体としたリン化金属ナノ粒子触媒を用いて、反応パラメータを詳細に検討する。
|
Causes of Carryover |
実験計画を踏まえて、一部使用計画を変更せざるを得なかったため。
|