2023 Fiscal Year Annual Research Report
The development of metal-nonmetal alloy nanoparticles for the hydrogenation of lignocellulose
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21K04776
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 渉 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50700150)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 金属ナノ粒子 / リン化ニッケル / 水素化反応 / 協奏的触媒作用 / グルコース / 糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
グルコース還元は、甘味料や化粧品、ファインケミカル等の多様な用途が存在するソルビトールを得る重要な反応である。申請者は、層状複水酸化物であるハイドロタルサイトにnano-Ni2Pを分散担持した触媒(nano-Ni2P/HT)を開発し、世界で初めて非貴金属触媒による常温または常圧水素下でのグルコースの高効率な還元反応を実現した。nano-Ni2P/HTの触媒回転数(TON=852)は、世界最高値を示し、既存の工業触媒であるRaney Niに比べ800倍以上高く、貴金属触媒であるRu/Cをも上回る。また、グルコース以外の単糖(キシロース→キシリトール)および二糖(マルトース→マルチトール)の還元反応においても、既存の触媒を凌駕する世界最高活性を示し、糖類の還元に対する本触媒の高い一般性を明らかにした。さらに、本触媒は実用的な観点から重要な高濃度の糖水溶液(50 wt%)にも適用でき、反応後の触媒は高活性を維持したまま再使用が可能である。nano-Ni2P/HTはRaney Niとは異なり、発火性がなく、予備還元も不要である。したがって、nano-Ni2P/HT触媒による糖還元は、高活性・耐久性・安全性を兼ね備えた次世代型触媒反応系といえる。また、種々の構造解析により、応募者はこの高い触媒性能の発現が、nano-Ni2PとHTとの複合界面において、水素分子および糖のカルボニル基をそれぞれ活性化する「協奏的触媒作用」に基づくことを明らかにした。これまでに、リン化金属と担体との著しい協奏効果およびその触媒駆動原理を明らかにした例はない。
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