2021 Fiscal Year Research-status Report
電場触媒反応場における脱水素反応の低温駆動とその学理
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21K04777
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小河 脩平 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 講師 (40707915)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 資源・エネルギー有効利用技術 / 脱水素反応 / 担持金属触媒 / 低温電場触媒反応 / 低級オレフィン製造 |
Outline of Annual Research Achievements |
低級炭化水素のC-H結合活性化能を有し,外部電場印加によりプロトンを表面で伝導しうる「イオニクス担持金属触媒」の創製に取り組んだ。イオニクス担持金属触媒と外部電場とのシナジー効果により,低温でプロパンの脱水素反応を進行させることを目指した。反応装置には固定床流通式反応器を用い,整粒した触媒を充填し,その両端に直流電流を印加しうるステンレス製電極を設置し,電場中での反応を行った。本年度は触媒として,電場が印加しうる半導体性の金属酸化物担体とし,C-H結合活性化能を有するPtを担持したものを用いて検討を行った。 Pt担持触媒に電場を印加することで300℃以下の低温域においてもプロパンの脱水素反応が進行し,プロピレンの生成を確認した。300℃における平衡転化率は0.5%程度であるため,電場を印加せずに外部加熱のみの反応では活性はほとんど発現しない。一方,電場を印加した場合には,熱力学的平衡制約を超えた活性が見られた。これは,外部電場印加により,触媒表面でのイオン・電子の伝導や反応を能動的に制御することで,脱水素反応が不可逆的に促進された結果,従来の熱力学的な平衡制約を打ち破る活性が発現したためと考えられ,本研究のコンセプトが実証された。また投入電力に比例して転化率が増加すること,触媒担体を変えると投入電力当たりの活性が変化することも見出し,さらなる高性能化のための触媒設計指針ならびに反応場の制御因子が明らかになりつつある。これらの成果は学会や論文等で今後発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
担持金属触媒への電場印加により,300℃以下の低温でもプロパン脱水素反応が進行することを明らかにしており,まだ転化率が低いものの,本研究のコンセプトが課題達成に有効であることを示す結果が得られている。本反応場において,触媒担体が活性・選択性に重要な影響を及ぼすことがわかったため,これらの知見を活用することで,高性能な触媒材料の創出が期待できる。そのため,研究はおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果により得られた触媒設計指針を活用し,高性能な触媒材料の開発とその活性評価に取り組む。また他の反応系において,外部電場印加により表面でプロトンを効率的に伝導しうる触媒材料が見つかっているため,これらの材料も低温電場中でのプロパン脱水素反応に適用する。さらに,高性能触媒に対して高分解能電子顕微鏡観察やDFT計算を共同研究を通じて行い,高性能触媒に共通する因子を見出し,触媒設計にフィードバックすることで,研究を推進することも検討する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた機器が,コロナ禍の影響により,年度内に納期が間に合わない恐れがあったため,次年度に購入することとした。
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Research Products
(3 results)