2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on microwave-induced non-equilibrium chemical reaction by complex permittivity analysis
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21K04781
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
藤井 知 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30598933)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロ波化学 / 複素誘電率 / 空洞共振器法 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロ波照射下における固体触媒の電場・温度依存の複素誘電率を測定できる装置を研究している。空洞共振器を用いた摂動法をベースとしていることから、はじめに必要な共振器について有限要素法のシミュレータを用いて設計を行い、その試作と検証を行なった。検証の結果、室温測定においては、石英にて校正することで、任意の材料が測定できることを確認した。また、マイクロ波加熱もできることが必要であることから、共振器とアンテナのカップリングについて着眼し、パッチアンテナにおける給電ポイントの設計を3次元に拡張したインピーダンスマッチングの理論的な考察を行い、その設計を行なった。本設計を元にした試作の結果、やや50Ωからずれているものの理論的な考察が正しいことが示された。これにより、マイクロ波の投入エネルギーをQ値からどの程度理論的に投入されているのか見積もることが可能となり、誘電損失について温度変化から算出できることが原理的に分かった。次に、実際の温度測定については従来のものから2色温度測定装置に変更し、温度による放射率の変化など避けることが出来、正確な温度測定が可能となった。これにより温度上昇から誘電損失を算出できる見込みとなった。次に、申請時、試料の加熱をランプ加熱機構としていたため、共振器も加熱されてしまうことが原因で共振器のQ値や中心周波数が変動した。そのため、加熱機構をCO2レーザに変更し、この問題を回避することが出来た。最後に、マイクロ波照射中における複素誘電率の変化は、マイクロ波照射中の反射波を小さくなるよう周波数を調整し、その周波数を変化から誘電率の変化を導出できることを見出し、プログラムを組んでいるところである。装置の構築に加え、固体触媒の担持材料となる可能性のあるダイヤモンドの複素誘電率について調べたところ、急激に温度上昇が生じるマイクロ波加熱の特異な現象を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に計画していた複素誘電率測定装置を設計と試作を行い、検証を行なっているところである。その過程で、共振器とアンテナ関係を明らかにすることが出来、また、試料加熱などの問題が見つかり、その解決を行うことが出来た。さらに、複素誘電率測定において、ダイヤモンド等の半導体材料においてマイクロ波照射中急激な温度上昇があり、マイクロ波特有の加熱が生じている可能性があり、その解明ができればマイクロ波照射を化学反応以外の固体物性分野まで広げることができる可能性を見つけた。
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Strategy for Future Research Activity |
複素誘電率測定装置として完成させ、マイクロ波特有の加熱現象が見られているダイヤモンドについてさらに現象解明を行う予定である。ダイヤモンドの特異な加熱はダイヤモンド中の欠陥と相関があると考えられ、その複素誘電率と欠陥について明らかにして行きたい。
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Causes of Carryover |
独立基盤形成支援を受けたため、申請時の計画と構築する複素誘電率装置が大きく変わってしまったためである。本年度以降、独立基盤形成支援を入れた使用計画について見直しを行い、計画通りの予算執行と予定している。
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Research Products
(7 results)