2022 Fiscal Year Research-status Report
Design and Development of Formate Oxidation Catalysts Based on Core-Shell Type Nanonetwork for Fuel Cell Applications
Project/Area Number |
21K04783
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒木 秀記 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (70716597)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ギ酸塩酸化触媒 / コアシェル / ナノネットワーク / 担体フリー / 触媒層 / 固体アルカリ燃料電池 / 液体燃料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ギ酸塩水溶液を直接燃料に用いる固体アルカリ燃料電池(DF-SAFC)の高性能化に向けて、Pd系コアシェル型ナノネットワークを基盤としたギ酸塩酸化触媒および触媒層の設計・開発を目的としている。2021年度は、Cuアンダーポテンシャル析出法とソフトアルコール還元法を用いてRuナノ粒子連結ネットワーク表面上へのPdシェル層形成を行った。その結果、均一なPd層の形成には、異なるPd前駆体や還元剤の使用による反応の制御が必要であると示唆された。 2022年度は、Pd前駆体をK2PdCl4に変更しPdの核発生・成長速度をマイルドにすることで、均一なPdシェル層の形成を試みた。ここでは還元剤にテトラエチレングリコールを用いた。その結果、僅かにPdナノ粒子の形成が観察されたものの、概ね均一なPdシェル層をRuナノネットワーク表面に形成することに成功した。 そこで、Ru:Pd元素比の異なる触媒を合成し、Pd被覆量とギ酸塩酸化活性(FOR)の関係性を評価した。FOR活性は、回転電極装置を用い、ギ酸塩(HCOOK)を含むアルカリ電解液中で電気化学的に評価した。その結果、Pd量(Pd/Ru比)を増やすと、ある組成比まではFOR表面比活性が増加するものの、Pd量を増やし過ぎると逆に活性が低下することが分かった。最適な組成比のRu@Pdナノネットワーク触媒においては、従来のPdナノ粒子担持カーボンよりも9倍高いFOR活性を示した。また、FOR表面比活性は、FORのオンセット電位とも相関があることが確認された。 以上の結果から、高いFOR活性を示す中空カプセル状の担体フリーRu@Pdナノネットワーク触媒を開発することに成功した。触媒構造とFOR活性の関係性をさらに調査するために、他の合成法で作製した触媒との比較を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021~2022年度は、新規ギ酸塩酸化触媒である、Pd系コアシェル型ナノネットワーク触媒の開発を進める計画である。本年度は、2021年度に得られた知見を基に、金属前駆体を変更したポリオール反応によって、概ね均一なPdシェル層を有するRu@Pdナノネットワーク触媒の合成に成功した。さらに、金属組成比の異なる触媒を合成し、最適な組成比を見出し、従来の触媒よりも9倍高いFOR表面比活性を得ている。現在、Pd表面構造がFOR活性に与える影響を明らかにするために、他の合成法で作製した触媒の活性評価を進めている。これらの結果を解析することで、高活性なギ酸塩酸化触媒の設計指針を獲得できると期待される。以上のことから、本研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、これまで開発した触媒の構造とFOR活性の関係性を整理し、さらなる高活性触媒の開発に向けた設計指針を獲得する。さらに、開発したRu@Pdナノネットワーク触媒をDF-SAFCのアノード触媒層に展開し、DF-SAFCでの発電試験、電気化学測定を行う。得られた結果から、高空孔率・薄層の担体フリー触媒層がギ酸塩の輸送抵抗に与える影響を考察し、DF-SAFCの高性能化のための設計指針獲得を目指す。
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Research Products
(5 results)