2021 Fiscal Year Research-status Report
メカノセンサー標的型磁性ナノ粒子の創製とヒトiPS細胞精密挙動制御技術の開発
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21K04787
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀江 正信 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (60727014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井藤 彰 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60345915)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メカノバイオロジー / 物理刺激 / ヒトiPS細胞 / 細胞治療 / 大量培養 / 分化誘導 / バイオプロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はメカノセンサー標的型粒子の設計と開発、および物理刺激がヒトiPS細胞に与える影響評価を主として行なった。具体的には直径約10 nmのマグネタイト粒子の表面をアミノシランコートしPEG鎖を導入する。さらにミトコンドリア指向性化合物TPPおよび核移行シグナルペプチドを提示させることによって、それぞれミトコンドリアおよび細胞核への送達を目指す。構築したマグネタイト粒子を正電荷脂質膜で包埋することによって、負の電荷を持つ細胞表面に自身で結合し取り込まれる。リポソームの主成分であるDOPEが膜融合することによってマグネタイト粒子はエンドソーム脱出するものと考えられる。当該粒子についてはテストとして、まずマウスKRAS変異大腸がんCT26細胞(BALB/c)に取り込ませ、集積や細胞影響を評価している。今後ヒトiPS細胞に取りませ、電子顕微鏡を用いてミトコンドリアへの集積を評価する予定である。 また物理刺激によりヒトiPS細胞への分化指向性をどの程度誘導できるかを評価するため、ポリアクリルアミドの重合度によって硬さを変化させた培養面を作成し、未分化維持因子であるbFGFを添加しない条件下にて培養し遺伝子発現変化を評価した。その結果、培養面の硬さの違いと三胚葉特異的な遺伝子発現には相関性があることが明らかとなり、高額で不安定な液性因子を用いることなく、足場の硬さという物理的な環境変化のみによってヒトiPS細胞の分化誘導できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初初年度の目的としていたメカノセンサー(ミトコンドリア、細胞核)標的型機能性ナノ粒子の開発が順調に進んでおり、ヒトiPS細胞に対する集積評価ができるところまで進展している。また物理刺激のみによりヒトiPS細胞の分化誘導が可能となる可能性のある結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したメカノセンサー標的型機能性ナノ粒子のヒトiPS細胞内における集積を電子顕微鏡によって確認する。確認できない場合は、他の標的分子による粒子の改変を試みる。集積が確認されれば、ネオジム磁石や磁場照射により引張力や熱といった物理刺激をメカノセンサーに直接負荷し、ヒトiPS細胞の増殖や分化指向性への影響を評価する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスによる学生の罹患および登校・出勤自粛によって実験の回数が当初の予定より減少したため。
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Research Products
(3 results)