2023 Fiscal Year Research-status Report
メカノセンサー標的型磁性ナノ粒子の創製とヒトiPS細胞精密挙動制御技術の開発
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21K04787
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀江 正信 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (60727014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井藤 彰 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60345915)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞 / メカノバイオロジー / バイオプロセス / 軟培養面 / メカノプロセス / メカノカルチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は磁性ナノ粒子を用いたヒトiPS細胞内部からの物理刺激、および物理環境を変化させることによる骨格筋細胞挙動変化の評価、骨格筋細胞分化誘導効率向上因子の検討を主として行った。具体的には正電荷脂質膜磁性ナノ粒子を用いてヒトiPS細胞への取込を行い、取込量の経時変化を評価した。その結果、取込開始後8 hにおいてヒトiPS細胞内部への磁性ナノ粒子の取込量が最大に達することが明らかとなった。さらにこの磁性ナノ粒子をヒトiPS細胞内へ取り込ませた後、磁石を用いて磁力を付加し、細胞膜や核膜のレベルで張力を付加することによって細胞の挙動制御評価を行い、張力を負荷することによって分化傾向に影響を与えることが明らかとなった。 また培養面の硬度という物理環境を変化させることによって、ヒトiPS細胞から骨格筋細胞への分化誘導において自己組織化を誘導し、より生体内における状態に近い三次元的な骨格筋組織を誘導可能であることを明らかにした。さらに、現状のヒトiPS細胞から骨格筋細胞への分化誘導効率は必ずしも高くなく、培養容器内の不均一性が問題であると考え、より高効率に骨格筋細胞を分化誘導するためのプロセスとして、低分子化合物(CDK阻害剤:SU9516)を添加することによって細胞-基質間接着を司るインテグリンの発現を増強し、ヒトiPS細胞から骨格筋細胞への分化効率が向上することを明らかにした。この作用機序をより詳細に明らかにし、ピンポイントで物理刺激を負荷することによって骨格筋細胞を物理刺激のみで分化誘導することができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたナノ粒子の開発も順調に進み、細胞内においてミトコンドリア特異的に送達可能であることが明らかとなった。さらにヒトiPS細胞への細胞内物理刺激付加も可能となり、細胞挙動を制御可能であることを見出せている。さらに、最終目標細胞として設定していた骨格筋分化においても、有用な因子と作用機序解明が進んでおり、物理刺激による分化誘導へ順調な準備が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は構築したナノ粒子を用いてヒトiPS細胞内においてもミトコンドリア特異的に送達可能であるかどうかを評価するとともに、磁場の負荷タイミングや強度などを変化させることによるヒトiPS細胞の分化傾向変化をリアルタイムPCR法などを用いて明らかにし、液性因子の添加なども調整しながら、物理刺激のみによる骨格筋分化誘導プロセスを完成させる。
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Causes of Carryover |
実験の進行状況に合わせ、必要に応じて適切に執行したため。
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