2021 Fiscal Year Research-status Report
新規バイオ医薬品生産宿主細胞の全ゲノム解析及び核型画像解析システムの構築
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21K04788
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山野 範子 大阪大学, 工学研究科, 助教 (20582795)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオ医薬品 / 新規宿主細胞 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
① 核型画像から、各染色体の転座の割合を手動により計数した。また、ImageJソフトを用いて前処理(二値化・収縮処理・手動での染色体画像区分け)した染色体のDAPI画像、及びFISH画像(最大輝度)を用い、Python言語による染色体の輪郭・色情報抽出プログラムの作成を行った。機械学習を行うための画像の処理については、輪郭抽出において前処理を行ったDAPI画像の輪郭抽出画像と元のDAPI画像を比較し、染色体数とその輪郭が一致しており、正常に抽出が行われた事が確認できた。一方で、色情報抽出においては、画像の実際の色と抽出結果の色のピクセル数が一致しなかった。この原因として前処理過程によって生じた元の画像との座標のズレ、輪郭抽出の際に振られた染色体番号と色情報抽出順番の不一致、染色体を囲む最小矩形で測定する方式により不要な端の部分も抽出してしまう事が挙げられる。今後これらの問題を解決した上で、機械学習による画像解析のシステム化が望まれる。 ② まだシークエンスの精度に課題が残るものの、新規宿主細胞であるCHL-YN細胞について、「MinION」を用いた全ゲノムシークエンスを行った。 ③ 薬剤を用いてCHO-K1細胞に変異を誘導後、単離した細胞について、宿主細胞とした場合に、元々の細胞と比較して、導入される遺伝子コピー数及び抗体発現量が高くなる細胞株を取得している。この細胞の核型を調べたところ、8番染色体のテロメア領域に欠損があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機械学習による画像解析プログラムの作成について、画像の実際の色と抽出結果の色のピクセル数が一致しないという問題が生じているが、想定の範囲内である。
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Strategy for Future Research Activity |
① 画像解析システムを完成させ、核型の解析を行う。染色体転座の起こりやすさや各染色体の安定性の違いについて、核型画像を数値化したものでCHO細胞との比較を行い、新規細胞の特徴についての基盤的情報を蓄積する。 ② CHL-YN細胞からクローニングを行い、宿主細胞としてより良い細胞株を選択する。その際に、今回CHO-K1由来細胞株で明らかにした、宿主として有用な細胞の核型の特徴(8番染色体の欠損)を判断材料に入れる。候補となった細胞株について、実際に抗体発現ベクターを導入し、導入遺伝子コピー数と生産性の評価を行い、最終的に選択する細胞を決定する。
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Causes of Carryover |
全ゲノムのシーケンス解析、また核型の画像解析システムを用いた画像一括処理には、負荷の大きな処理が求められるため、最新のCPU/GPUを搭載可能な高機能・高性能なパソコンが必要であると考え、PCシステムの購入を初年度に予定していた。現在のところ、手持ちのPCシステムで何とか対応ができており、新しいPCシステムの購入に至っていないが、必要に応じて再度購入を検討したいと考えている。
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Research Products
(8 results)