2023 Fiscal Year Annual Research Report
培養温度制御に基づく真核細胞への遺伝子導入の効率化
Project/Area Number |
21K04789
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
勝田 知尚 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (50335460)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝子導入 / 細胞周期 / 同調培養 / 昆虫細胞 / 培養温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,研究代表者らが緑藻の培養で見出した,培養温度を適切な範囲で周期的に変化させると培養液中の細胞間で細胞周期が同調するという知見に基づき,真核細胞の細胞周期を同調させて核膜の消失から再構成される間にあわせて外来遺伝子を導入することにより,その核内移行,ならびに核 DNA との接触を促進させて,遺伝子導入の効率化を図ることを目的としている. 令和 5 年度は,これまでに引き続き,昆虫細胞 Trichoplusia ni BTI-TN-5B1-4 を対象とし,DNA 合成阻害剤 2'-デオキシ-5-フルオロウリジン (FdUrd) による処理,ならびに低温処理により細胞周期の同調を図り,遺伝子導入の効率化を外来遺伝子に緑色蛍光タンパク質 ZsGreen1 遺伝子を用いて検討した. はじめに,FdUrd で 24 時間処理して細胞周期を G1/S 期で停止させた細胞は,FdUrd を除去して細胞周期を再開させてから 12 時間後に G2/M 期に最も多く移行することを明らかにした.このときの細胞に対して ZsGreen1 遺伝子を導入したところ,導入より 24 時間後の蛍光細胞率が FdUrd による処理を行わなかった条件と比べて 4.3 倍増加し,外来遺伝子が速やかに核内移行し,発現することが確認された. つぎに,最適温度の 27℃ よりも低温側では,温度の低下にしたがって増殖が抑制され,24 時間後に G1 期にある細胞が減少することを明らかにした.そこで,細胞を 15℃ で 24 時間保持したのち遺伝子導入を行ったところ,導入より 24 時間後の蛍光細胞率が低温処理を行わなかった条件と比べて 4.5 倍増加し,外来遺伝子が速やかに核内移行し,発現することを見出した.こうした低温処理は,昆虫細胞への遺伝子導入を効率化できる簡便な手法であることが示された.
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