2023 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ節由来ストローマ細胞株を用いる人工リンパ節構築系の開発
Project/Area Number |
21K04791
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
曲 正樹 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 助教 (50359882)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 濾胞樹状細胞 / 抗体の親和性成熟 / 胚中心 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ球は,血管とリンパ管を通して全身のリンパ組織を循環しているが,病原体が侵入した際には感染部位近傍のリンパ節で活性化し,ストローマ細胞の制御のもと抗原への免疫応答を開始する.リンパ球の一種であるB細胞は,病原体を認識すると抗原特異的な抗体産生細胞や記憶細胞に分化することで病原体排除に貢献する.本研究では,申請者らの樹立したB細胞の活性化および分化を支持する能力をもつストローマ細胞株(FL-Y細胞)を利用し,ストローマ細胞によるB細胞の分化制御メカニズムを解析する.さらに,これまでの細胞培養系から得られている成果を発展させ,ストローマ細胞株を利用して生体内に免疫能力を備えた人工リンパ節を構築できる手法を開発することを目的とした. 本年度は,FL-Y細胞の機能向上を目的とし,B細胞の活性化調節に関わる分子の探索を行なった.その結果,免疫調節分子として知られているSLAM-family member (SLAMF) 5がFL-Y細胞において活性化に伴いわずかではあるが発現上昇することを見出した.FL-Y細胞の発現するSLAMF5のリンパ球に与える作用を解析するため,SLAMF5高発現FL-Y細胞上で,免疫マウスより調整したリンパ球を抗原と共に培養した.その結果,FL-Y細胞にSLAMF5を高発現させることにより活性化B細胞数の減少および抗体産生の低下が認められた.さらに,このSLAMF5によるB細胞活性化抑制はリコンビナントSLAMF5タンパク質の添加によっても再現された.一方,B細胞のみをFL-Y細胞上で刺激培養した場合は,SLAMF5高発現によるB細胞の減少は見られなかった.これらの結果より,FDCの発現するSLAMF5がT細胞の活性化抑制などの間接的な機構を通じてB細胞の活性化を抑制する可能性が示唆された.
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