2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K04794
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鬼塚 正義 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (80571174)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗体医薬品 / 動物細胞 / 灌流培養 / 抗体品質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、抗体医薬品生産における長期間の動物細胞培養時に生じる細胞の老化現象と生産抗体の品質の関連性の解明を目的としている。R4年度はより本格的な培養のために、2Lスケール培養槽とATFシステムを用いた灌流培養を実施した。培養途中で培地の灌流率(培地交換速度)を変更し、長期培養と共に培地中の栄養源がIgG1抗体生産量および抗体品質に与える影響を解析した。 Run1(22日間培養)の灌流培養では培養途中で灌流率(培地交換速度)を変更し、投入する栄養源量を低下させてその影響を解析した。結果、抗体N型糖鎖末端のガラクトシル化が急激に減少し、Fcレセプターへの結合能力が低い抗体が分泌されていた。 Run2(39日間培養)では灌流率を一定に保ちつつブリーディング操作により、維持細胞数を変化させながら培養を実施した。維持した生細胞密度に応じて抗体N型糖鎖のガラクトシル化は変化した。2回のRunより、細胞に対する栄養源相対量がN型糖鎖修飾に影響を与えることが示唆された。細胞分裂に応じて老化が進行すると考えられるため、灌流培養などの連続生産では細胞が目的密度に達した後は、細胞が増殖しない条件下で細胞維持することが望ましいとされている。2回のRunから、細胞維持(増殖なし)の条件設定に関する指標を得ることが出来たと評価している。 また細胞老化や抗体品質に影響を与えうると想定した各酵素についてスケールアップ培養(100mL)を行った。培養上清ならびに細胞沈殿を保管したので、精製後、酵素活性を測定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画書に記載した計画書には、4つのサブテーマを3年計画で実施することとした。R3年度は一部のサブテーマ(灌流培養)について、進行がやや遅れていた。しかしR4年度は実績概要に記載した2Runに加えて、別バッチの培養も実施することが出来た。抗体品質の分析も計画通りに進行したため、R3年度の遅れから計画通りに戻すことが出来たと考えている。進捗状況は「おおむね順調に進展している」との評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は引き続き灌流培養(1Lスケール培養)を実施し、灌流率や維持細胞濃度以外のセッティングパラメーターを変化させて培養を行う予定にしている。培養条件変化が、細胞の老化や抗体品質に与える影響を解析する。同時に各酵素の分離精製と酵素活性測定、細部内発現を解析し、長期培養における細胞老化と抗体品質の関連性について、総括的に研究を進める。
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