2021 Fiscal Year Research-status Report
量子化学計算とシミュレーションを用いた柔軟な分子のビルドアップ機構の理論的解明
Project/Area Number |
21K04806
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岸本 直樹 東北大学, 理学研究科, 准教授 (60302080)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 量子化学計算 / 分子動力学 / 超分子ナノ構造体 / ネットワーク構造 / 生成初期過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存の量子化学計算用の計算サーバーを用いて、超分子金属錯体の形成過程を化学反応経路自動探索法で明らかにするための研究を行った。その中で、錯体の材料となる有機分子の水中での配座異性体への変形過程と、金属原子が付着してからの配座異性体への変形過程とエネルギーの関係を明らかにした。本研究によって、超分子ナノ構造体の生成初期過程について知見を得ることが出来たので、次年度には学会発表と論文発表を予定している。 また、超分子2次元ネットワーク構造の構築過程を量子化学計算で明らかにする研究にも取り組み、有機分子の相対配向と相対距離を変化させ、エネルギーの低い構造を明らかにした。この成果は共同研究者のグループが学会発表を行った。次年度には論文発表を予定している。 他にも、高分子の架橋ネットワーク構造を生成する素反応過程の活性化エネルギーと生成熱を量子化学計算で明らかにした。反応シミュレーションと組み合わせて、いくつかのネットワーク構造を生成し、新たに購入した分子動力学用途計算機を用いたシミュレーションによって物性値を比較した。今後は、分子触媒の効果を入れた反応シミュレーション法を開発する予定である。 他にも、アミロースとアミロペクチンのラマンスペクトルを量子化学計算で再現することを目標として、グルコース分子モデルを検討し、良好な結果を得ている。米の炊飯過程で構造が乱れたアミロペクチンのラマンスペクトルの再現に威力を発揮するものと考えている。この成果はすでにシンポジウムで発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、高分子の架橋ネットワーク構造に関して、量子化学計算と反応シミュレーションと組み合わせて、いくつかのネットワーク構造を生成し、分子動力学計算によって物性値を比較した。この成果は投稿論文で発表した。次の課題として、分子触媒の効果を入れた反応シミュレーションの開発を考えている。 次に、超分子2次元ネットワーク構造の構築過程に関して、有機分子の相対配向と相対距離を変化させ、エネルギーの低い構造を明らかにした。この成果は学会発表を行っており、次年度には論文発表を予定している。現在、準備中である。 最後に、超分子金属錯体の形成過程を量子化学計算で明らかにするための研究では、超分子ナノ構造体の生成初期過程について知見を得ることが出来た。次年度には学会発表と論文発表を予定している。 以上を総合的に判断して、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
超分子金属錯体の形成過程を量子化学計算で明らかにする研究の中で、錯体の材料となる有機分子に水中で金属原子が付着してからの配座異性体への変形過程について、最小エネルギー反応経路を明らかにしようと考えている。また、分子動力学を用いて、金属原子が付着した有機分子が自己集合する様子を明らかにすることを目的としてシミュレーションを継続する。 高分子の架橋ネットワーク構造に関しては、量子化学計算で得られた分子触媒を含む反応経路を入れた反応シミュレーション法(cat-GRRM/MC/MD法)の開発を予定している。
|