2023 Fiscal Year Annual Research Report
量子化学計算とシミュレーションを用いた柔軟な分子のビルドアップ機構の理論的解明
Project/Area Number |
21K04806
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岸本 直樹 東北大学, 理学研究科, 准教授 (60302080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 亮介 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (30509542)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 量子化学計算 / 反応経路自動探索 / 超分子ナノ構造体 / ネットワーク構造 / 分子動力学計算 / 二水素錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子化学計算と分子動力学計算を組み合わせて、有機分子の化学反応における自己触媒効果を入れた分子反応シミュレーション法(cat-GRRM/MC/MD法)と、可逆反応過程を入れた多段階分子反応シミュレーション法(multistep-GRRM/MC/MD法)の2つを開発して、柔軟な分子のビルドアップ機構の解明を図った。反応生成物である架橋ネットワーク構造を持つポリマー(樹脂)は、既報の実験による力学特性(ガラス転移温度やヤング率)と良い一致を示したことから、開発した手法が優れていることを証明した。 また、溶液中で金属イオン原子と柔軟なペプチド分子の自己組織化によって巨大環状金属錯体が生成する過程で中心金属イオンが六座配位を形成するのに果たす役割や、反応初期のペプチド分子のコンフォメーション変化、カウンターアニオンを含んだ構造変形などについて、反応経路自動探索法を用いた量子化学計算によって検討し、巨大金属錯体のビルドアップ機構を研究した。さらに、金属イオン原子とペプチド分子から自己組織化によって生成した巨大分子系の円二色性スペクトルについて、励起状態の量子化学計算から吸収スペクトルと円二色性の解析を行ったところ、光学活性を持つ配位子と金属との構造上の関係と励起に関係する分子軌道の両方の効果について検討することが出来た。 その他にも、二水素錯体への水素分子吸着と同位体分離の量子化学計算ならびに、有機分子を対象にしたメタルフリー表面増強ラマン散乱効果の量子化学的解析の研究を行い、学会や論文で成果発表を行った。
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