2023 Fiscal Year Annual Research Report
影響因子分類に基づく高温溶融塩中での六方晶窒化ホウ素の結晶外形変化の機構解明
Project/Area Number |
21K04807
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山田 哲也 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (80623735)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フラックス法 / 結晶成長 / 窒化ホウ素 / データ駆動化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
h-BN結晶成長にはたらくフラックスの効果には,h-BN表面での吸着相互作用が考えられる。そこで本研究では,h-BNとフラックスの吸着相互作用を理解し,結晶成長への寄与を定量化することを目指した。 はじめに,計算科学により吸着エネルギーを調べた。ここでは,40種類程度のフラックス構成イオン種のh-BNに対する吸着エネルギーを求めた。いずれの場合も,h-BNのab面方向からの吸着が強いことがわかった。特に,カチオンと比べてアニオンの吸着エネルギーが高い傾向が見られた。アニオンがフラックス反応場での支配的な吸着因子といえる。 次に,結晶アスペクト比に対する多変量回帰分析を実施した。ランダムフォレスト回帰分析の結果,結晶アスペクト比に対して,決定係数が0.8以上の予測精度をもつ回帰モデルを構築できた。得られた変数重要度からは,フラックス由来アニオンの吸着エネルギーが比較的大きな寄与をもつことがわかった。h-BN側面がフラックス由来アニオンによりキャッピングされ,二次元層の成長抑制と,それに伴うアスペクト比変化に影響したと推察する。 本研究からは,フラックス由来アニオンがh-BNのab面と強く相互作用し,結晶アスペクト比変化に寄与することがわかった。本知見は,h-BNの結晶成長方位の定量的制御に向けた実験指針となる。具体的には,h-BN二次粒の粒界接合改善に向けて,有効フラックスの効率的な選抜・探索が可能となった。
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