2022 Fiscal Year Research-status Report
Construction of design rules of stable, multi-gap perovskite photovoltaic devices
Project/Area Number |
21K04809
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
奥 健夫 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (30221849)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ペロブスカイト / 太陽電池 / 光電変換素子 / マルチギャップ / 微細構造 / 組成傾斜 / 高耐久性 / 設計原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
高耐久性・組成傾斜型マルチギャップペロブスカイト光電変換素子設計原理の構築にあたり、幅広い学際的バックグラウンドを持つ研究者を結集した。目的として、①結晶構造・微細組織を制御した組成傾斜構造の自己組織形成プロセスの構築、②ポリシランホール輸送層導入および200℃高温処理による高耐久性デバイス形成、にフォーカスして研究を推進した。令和4年度は特に、光電変換素子の新規合成プロセス開発、光起電力特性などのデバイス評価及びペロブスカイト結晶の第一原理計算解析に重点をおきながら、界面微細ナノ構造制御によるさらなる発電効率の向上及び安定化も目指した。主な研究成果は以下のようにまとめられる。 Aサイトである陽イオン位置にHC(NH2)2、CH3CH2NH3、Kなどを導入、BサイトであるPb位置にはSn、Cuなどを導入し、第一原理計算により結晶構造安定性やエネルギーバンドギャップ等の電子状態を予測した。計算結果から、HC(NH2)2やSn添加系ではバンドギャップの減少が確認され、MAPb(Sn)I3ではMAPbI3と比較して全エネルギーの低下が確認できた。実際にこれらの元素を導入したペロブスカイト前駆体溶液を用いて多段階再溶融解積層により、ペロブスカイト(100)結晶面が高配向した微細構造形成を実現し、そのメカニズムを明らかにした。またSn-Cuの混合ペロブスカイト太陽電池において、ポリシランホール輸送層導入により、光電変換効率が時間経過とともに向上する現象を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CH3NH3PbI3-xClxペロブスカイト結晶のAサイトである陽イオン位置をC(NH2)3、CH3CH2NH3、Cs、Rbで、BサイトであるPb位置をCu、Snなどでそれぞれ置換し、第一原理計算より構造安定性やバンド構造等の電子状態を予測した。実際に実験で置換による光電変換特性・結晶性・微細構造への影響を検証し、バンドギャップの変化、結晶高配向化等を見出した。さらにデカフェニルシクロペンタシラン層を導入したペロブスカイト太陽電池を作製し、優れた光電変換特性と耐久性を示す結果を得た。これらの研究成果は、英文研究論文2報、国際会議プロシーディングス3報、学会発表等19件として公表され、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度には、さらに耐久性が向上する新規ペロブスカイト結晶とデバイスプロセスの研究開発を進め、より詳細な原子構造・電子構造の理論的・実験的解明を進める。特にBサイトのPbを、Cu、Sn、Geなどの他元素で置換し、欠陥規則配列型ダブルペロブスカイト構造なども視野に入れながら、第一原理計算によるバンド構造解析、光電変換素子特性評価等を実施する。また、ペロブスカイト前駆体溶液制御、多段階再溶融解積層、ポリシラン導入高温熱処理法を統合することにより、ペロブスカイト結晶の組成傾斜構造導入からマルチバンドギャップ制御を試み、新たな材料設計指針を構築していく。
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Causes of Carryover |
旅費、人件費等は、予定程度には使用しなかったため、次年度に繰り越させていただいた。
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