2022 Fiscal Year Research-status Report
キラル変換された銅ナノ粒子の作製とキラルセンシングへの応用
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21K04811
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
西田 直樹 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教務職員 (50536729)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 銅ナノ粒子 / 光学活性 / キラル変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラリティーを識別するキラルセンシングは、応用的側面からも重要な研究課題である。これまでの研究で、キラルな金ナノ粒子は簡便かつ有効なキラルセンサーであることが分かっている。一方、金は高価であるため、安価な銅に置き換えることが注目されている。しかし、銅ナノ粒子は不安定であり、物理的・化学的特性を保持することは困難である。本研究はキラル銅ナノ粒子の大量合成法を確立し、キラルセンシング技術の開発を目指すとともに、キラル銅ナノ粒子のキラル光学特性を検証する。これらの研究を通してナノ領域における新しいキラル化学の開拓を目指す。 当初の2022年度までの計画は、安定なキラル銅ナノ粒子の大量合成法を確立するため、合成法の最適化を検討した後にgスケールでの大量合成に着手することであった。 2022年度は、2021年度に得た知見をもとに、大量合成を見据えたキラルチオール保護銅ナノ粒子の合成法を検討した。これまで銅ナノ粒子の合成は、メタノールを用いた液相反応を行っていたが、洗浄時に変性し収率が落ちるという問題点があった。そこで固相反応を利用し、洗浄過程と乾燥過程を工夫することで多くの銅ナノ粒子を得ることができた。具体的には、出発物質である酢酸銅、キラルチオール、還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを乳鉢で混ぜた後、精製水を加え反応させた。得られた生成物を透析膜によって洗浄し、凍結乾燥をすることによってサンプルを得た。そして、電子顕微鏡像からシングルナノメートルサイズの粒子が得られていることが分かった。今後、この手法を他のキラル分子でも検討するとともに、gスケールでの大量合成の足掛かりとしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の計画の一つである銅ナノ粒子のgスケールでの大量合成については、めどが立ったといえるが実際には着手できていないため、達成度はやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画の通り、銅ナノ粒子のgスケールでの大量合成を図るとともにキラルセンシングへの応用を目指す。
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Causes of Carryover |
実験の進捗状況に応じて消耗品を発注したため、余剰が生じた。試薬の購入と学会発表旅費等で使用する予定である。
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