2021 Fiscal Year Research-status Report
電場誘起pn接合を利用した近赤外光放射する電流注入型円偏光発光素子の創製
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21K04812
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
星 裕介 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (70748962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 亮佑 東京都市大学, 付置研究所, 准教授 (50637064)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 二次元半導体結晶 / エレクトロルミネッセンス / CVD成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、単層二テルル化モリブデン(2H-MoTe2)の面内に電場誘起によりpn接合を形成し、これに電流注入することで、近赤外光を放射する円偏光エレクトロルミネッセンス素子を開発することを目的としている。CVD成長法により大面積かつ高品質な二テルル化モリブデンを結晶成長し、これを母材とした発光素子開発を目指している。今年度は、金属/2H-MoTe2の低接触抵抗化および、2H-MoTe2を発光層として利用したEL素子開発とその光学特性調査に着目し研究を実施した。 まず、劈開法で作製した単層2H-MoTe2との低抵抗コンタクト形成のため、レーザー照射により相転移させた金属相MoTe2をソース・ドレイン電極として利用した2H-MoTe2チャネルFETを作製した。バックゲート電圧を制御することでソース・ドレイン電流が制御できることを示した。また、ラマン分光測定およびオージェ電子スペクトル測定を用いて金属相形成メカニズムを調べ、2H-MoTe2中の結晶欠陥と結晶の温度上昇によって金属相が形成されることを発見した。次に、デュアルバックゲート電極を有する原子層積層構造EL素子を作製し、その電気的特性を調べた。バックゲート電圧を変化させることで、発光層となる2H-MoTe2中のキャリア密度を任意に変調できることを実証した。この手法を用いて面内PN接合を形成し、順方向電流を流すことでエレクトロルミネッセンスが生じることを示した。発光強度のバックゲート電圧依存性を調べたところ、発光強度を高める最適なバックゲート電圧が存在し、P領域、N領域ともにキャリア密度が高い場合、EL強度だけでなく、光照射時の光生成電流も減少する傾向が見られた。現在は、そのメカニズムを解明するべく、光生成電流および光起電力のゲート電圧依存性を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デュアルバックゲート構造を利用することで、2H-MoTe2中に面内PN接合を形成することに成功しており、これを利用したエレクトロルミネッセンスの観測を達成しているため、1年目の目標をおおむね達成している。2H-MoTe2のキャリア密度が高い場合にEL強度が減少するメカニズムを調べ、その結果を踏まえて論文などの成果にまとめる予定である。 CVD成長については、物品選定に時間を要したため予定より少し遅れて成膜装置の立ち上げが完了した。現在は、2H-MoTe2の大面積化を目指し、NaClを触媒とした結晶成長の条件出しを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
デュアルバックゲート電圧制御により2H-MoTe2からのエレクトロルミネッセンス(EL)の観測を達成しているため、作製した素子の円偏光度を測定する。円偏光度の温度依存性、ゲート電圧依存性を調べ、円偏光度を高める最適な条件および、その原理解明を目指す。現在は、ソース・ドレイン電極にグラファイトを利用しているので、これを金属相MoTe2に置き換えたEL素子作成を行っていく予定である。 CVD成長については、基板温度とMoO3原料温度の独立制御を試みる。各原料温度、基板温度を制御し、SiO2上へのMoTe2の成膜を試みる。同時にhBN上へのMoTe2の結晶成長を行う。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた消耗品の使用量が少なく済んだため差額が生じた。翌年度に購入予定である消耗品費(石英治具、Siウェハ、MoTe2およびグラファイトバルク結晶)と合わせて執行する予定である。また、本年度の実験にて、CVD成膜のための原料となるMoO3とTeを独立に温度制御をすることを検討しているため、新たに管状電気炉を購入する予定である。
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Research Products
(9 results)