2022 Fiscal Year Research-status Report
電場誘起pn接合を利用した近赤外光放射する電流注入型円偏光発光素子の創製
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21K04812
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
星 裕介 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (70748962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 亮佑 東京都市大学, 付置研究所, 准教授 (50637064)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 二テルル化モリブデン / 化学的気相成長法 / 金剥離法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、単層二テルル化モリブデン(2H-MoTe2)の面内に電場誘起によりpn接合を形成し、これに電流注入することで、近赤外光を放射する円偏光エレクトロルミネッセンス素子を開発することである。CVD成長法により大面積かつ高品質な二テルル化モリブデンを結晶成長し、これを母材とした発光素子開発を目指している。これまでの研究で、エレクトロルミネッセンス素子の開発には2H-MoTe2の大面積化が必要不可欠であることが分かったため、今年度は2H-MoTe2結晶の大面積化を実現するべく、CVD成長と金剥離法の二種類の作製手法に着目し研究を実施した。 まず、以下の手順で2H-MoTe2薄膜の結晶成長を実施した。Si/SiO2基板上にスパッタ法を用いて作製したMo薄膜を熱酸化することでMoO3薄膜を形成し、これをテルル化することで結晶成長を実施した。成長温度が550から600℃の場合、2H-MoTe2が結晶成長できることを示した。一方、成長温度が550℃より低い場合または、600℃より高い場合は、1T'-MoTe2が結晶成長された。結晶成長温度増大が2H-MoTe2形成のために必要であるが、成長温度が600℃より高くなるとテルルの析出が基板表面上に見られるようになり、2H相が形成されなくなることを確認した。これらの結果から、2H-MoTe2薄膜形成には最適な結晶成長温度が存在することを明らかにした。次に、金剥離法による大面積2H-MoTe2形成については、金薄膜を利用することでバルク単結晶から従来の機械的劈開法よりも最大で10倍程度大きい面積の2H-MoTe2単層膜が形成できることを実証した。現在は、金剥離法で作製した2H-MoTe2薄膜を用いてエレクトロルミネッセンス素子を作成する手法を開発している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、デュアルバックゲート構造を利用した単層2H-MoTe2を活性層とするエレクトロルミネッセンス素子の開発を実現している。そこで大面積な2H-MoTe2を形成する手法としてCVD成長と金剥離法の2種類の手法の開発に取り組み、従来法より最大で10倍程度の大面積な2H-MoTe2薄膜を作製できていることから、2年目の目標を概ね達成している。 現在は大面積2H-MoTe2薄膜を転写する手法の検討を進めており、ウェットトランスファー法に着目してエレクトロルミネッセンス素子開発を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目までに、デュアルバックゲート構造を利用した2H-MoTe2を活性層とするエレクトロルミネッセンス素子開発と、大面積2H-MoTe2薄膜の作製を達成しており、これらの技術を組み合わせて、電流注入型発光素子作製を行っていく予定である。発光素子の作製後はデュアルバックゲート電圧操作によりキャリア密度の異なるpn接合を形成し円偏光発光測定を実施するとともに、その温度特性を調べ、2H-MoTe2から生じる円偏光発光原理について詳しく調べていく予定である。 金剥離法では、2H-MoTe2の単層膜形成を達成しているものの、CVD成長では数層程度の厚さのある薄膜形成しか達成できていない。CVD成長においても大面積な単層膜形成を目指すため、NaClなどを触媒として利用した結晶成長技術の開発を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、消耗品費の価格変動によるものである。次年度の予算使用は消耗品が多いため、その購入予算にあてる予定である。
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