2021 Fiscal Year Research-status Report
Observation of Superradiance from Highly Oriented J-aggregates Induced by Atomic Nano-grooves
Project/Area Number |
21K04813
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
田中 利彦 福島工業高等専門学校, 化学・バイオ工学科, 教授 (10709819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 哲也 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 専任研究員 (50342738)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超放射 / J会合体 / ポリテトラフルオロエチレン / 分子配向 / 色素 / 原子溝 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)色素の配向した薄膜に部分的に生じているわずかな超放射の兆候を観測するために、当初計画に沿ったJ会合体発光ミクロ分布測定システムの設計を終え、部品を発注入手し、組み立てを完了し、基本的な機能を確認した。本システムは超放射を含む発光のミクロ分布を捉えることを第一の目的とするが、光吸収のミクロ分布についても過去に開発した分布観測システム(17K04996/ポリテトラフルオロエチレン表面のナノ原子溝が誘起する高配向J会合体の研究)よりもさらに長波長の近赤外の吸収および発光を捉えることが出来る。 (2)あるビスアゾ色素分子を一軸配向したポリテトラフルオロエチレン薄膜表面に蒸着すると部分的にJ会合体が生成することが判っていたが、蒸着速度を上げると製膜後のJ会合体の吸収極大ピーク波長はさらに大きくなる事を、本研究開始の直前に別途発見した。蒸着直後も吸収極大ピーク波長増大は続き最終的にはおよそ1μmの近赤外領域に達した。本色素の溶液中での吸収極大ピーク波長はおよそ0.5μmであるので、吸収される光子のエネルギーがほぼ半減するほどの類例の無い巨大な長波長シフトとなっていて、そのメカニズム解明が待たれる。そこでこの現象を上記(2)のJ会合体のミクロ分布の観察を上記(1)の新しいシステムで行った。J会合体の吸収極大ピーク波長が可視領域(赤)にある場合には分布測定がより鋭敏に観測され、また従来観測が難しかった近赤外領域にある場合も、ある程度観測できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)計画のJ会合体発光ミクロ分布測定システム観察システムが完成した。 (2)本研究の開始前に類例の無い巨大な長波長シフトを示すJ会合体が別途見つかり、その解析に(1)のシステムが有効に活用できている。近赤外領域まで研究対象が広がってきたのは、予想外の成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の超放射の観察を進めるとともに、同時に巨大な長波長シフトを示すJ会合体のシフトメカニズムの解明を平行してすすめ、近赤外領域での超放射の可能性も検討する。一方コロナウイルス流行によって発表活動は制限せざるをえなかったので、今後力を入れたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス流行により、学会活動など旅費を使用する機会が激減し、結果的に全く使用できなかったことが、主たる原因である。次年度は発表や投稿に力を入れる計画である。
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Research Products
(1 results)