2023 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of Superradiance from Highly Oriented J-aggregates Induced by Atomic Nano-grooves
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21K04813
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 利彦 浜松医科大学, 医学部, 教務補佐員 (10709819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 哲也 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 専任研究員 (50342738)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 色素 / J会合体 / 超放射 / ポリテトラフルオロエチレン / 分子配向 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終的に厳密に超放射と断定できるデータを得ることはできなかったが、その可能性を示す色素分子配向薄膜を作成することができた。すなわち複数のビスアゾ分子の配向薄膜に部分的に生じるJ会合体から生じる赤色~近赤外光の発光を観測した。これら色素は通常発光せずJ会合体を生じることでのみ発光する。そこでこれらの発光はでは部分的に超放射を生じている可能性が高いと考えられる。今後会合体の純度や薄膜の構造を改良することでこの超放射をもっと強め、レーザーなどに利用し得る可能性があると考える。 一方、ここで薄膜中で色素分子を配向させるためにポリテトラフルオロエ千レン(PTFE)のラビング膜上に色素分子を蒸着する方法を用いて来たが、その配向メカニズムを従来よりも詳細に解明した。PTFEに固有なヘリックス構造により、PTFE鎖間に生じる表面の溝がラビング方向に配列していて、そこに線形な色素分子が一つはまり込んで臨界核となるため、配向度はそのはまり込んだ状態でほぼ決まる。したがってこの機構は原子溝エピタキシーと称しても良いと思われる。そしてこのメカニズムには一般に色素の形状が線形である事が必要であるが、末端基の微妙な影響も大きく、その適切な分子設計で極めて高い一軸配向度が得られる。この末端基の影響を今回詳細に明らかにすることが出来た。この知見は分子設計上有用であり、また超放射を得るためにも有利であると思われる。 以上のように強い超放射を生じる色素薄膜を開発するための重要な知見が得られた。
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