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2021 Fiscal Year Research-status Report

カーボンナノチューブ同期振動の解明と応用

Research Project

Project/Area Number 21K04817
Research InstitutionYamagata University

Principal Investigator

佐野 正人  山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (40344816)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsカーボンナノチューブ / 同期振動
Outline of Annual Research Achievements

液中に分散したカーボンナノチューブ(CNT)が自発的に位相を揃えて振動する同期現象を発見したので、そのメカニズムの解明と応用を目指している。同期振動の測定には蛍光顕微鏡を用いる。個々のCNTは観察できないが、濃度分布の高低差による明暗が観察でき、溶液全体が同じタイミングで振動しているように見える。これを定量化するため、2次元位置検出器を用いて画面全体の光重心をリアルタイムで計測し、その座標をフーリエ変換して振動スペクトルを得る。
同期の条件としては、個々の振動子が散逸系であること、また、個々の振動子が他の非常に多くの振動子と相互作用していることが挙げられる。同期振動の理論としてKuramotoモデルがある。単純な相互作用を仮定しているが、解析学的に解けるモデルとして注目されている。Kuramotoモデルによると、同期振動を発現させるには相互作用強度に閾値が存在し、同期の程度は強度の平方根に比例する。
本研究では、CNTの同期振動がKuramotoモデルで記述可能かどうかを検証する。また、同期を発現させるCNTネットワーク構造を同定し、その応用を試みる。同期振動は分散状態が良好と貧弱の中間状態でのみ発現するので、界面活性剤濃度により相互作用の強度を変化させることができる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

除振機構を導入し、それまでFFTスペクトルに現れていた外部振動による多くの振動ピークが減少し、同期振動と考えられるピークを2,3まで絞ることができた。
界面活性剤濃度を変化させたところ、ある濃度以下で同期が発現することが確認でき、これはKuramotoモデルの予想と一致する。また、同期の程度は界面活性剤濃度のべき関数で表されることがわかった。モデルの相互作用強度と界面活性剤濃度の関係が不明なので、モデルの平方根と直接比較することはできないが、矛盾していない結果である。
また、分散液の温度を変化させたところ、同期の程度は温度の増加関数で、べき則に従うことも判明した。これは、CNTの同期振動が熱エネルギーにより駆動されていると推測される結果である。

Strategy for Future Research Activity

同期を起こすCNTの分散状態が「中間」、すなわち、不安定であるため、CNTはゆっくりと凝集している。そのため、モデルの相互作用強度と界面活性剤濃度の関係を正確に探ることは難しいと考えている。
同期振動中の個々のCNTは非常に多くの他のCNTと相互作用している。にも関わらず、凝集していない。このような分散状態は異例で、通常はCNT同士が引き合うと直ちに凝集する。非常に多くのCNTが凝集せずにネットワークを形成しているのであれば、電気伝導や力学強度の向上を効率的に行えると期待される。そこで、同期振動状態のCNTネットワークの構造を調べる。

Causes of Carryover

コロナ禍により学会がオンラインとなり、出張旅費を使用しなかったため。

URL: 

Published: 2022-12-28  

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