2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K04817
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐野 正人 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (40344816)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 同期振動 / カーボンナノチューブ |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブ(CNT)を界面活性剤と色素の水溶液に分散させるだけで、非常に多数のCNTが同期振動する様子を蛍光顕微鏡で観察した。これまでに、その挙動を非線形数学のKuramotoモデルで説明することに成功している。本年度は、外部振動の影響とノイズについて調べた。 周波数可変モーターにより単一周波数の機械的振動をCNT分散液に与えたところ、同期振動は外部振動に全く応ぜずに振動を続け、両者の周波数がマッチしたときも共鳴しなかった。また、同期振動していない分散液に当該周波数の外部振動を与えても同期振動しなかった。よって、CNT同期振動は外部要因ではないことが分かった。 同じように実験していても、同期しない状況がたまに生じる。同期しない場合、振動のパワースペクトラムは線形のバックグランドを与える。しかしながら、同期している全ての分散液は1/(f^n)のパワーノイズを伴うことを認識した。液中のパワーノイズはヘテロな複雑ネットワークから発生することが知られており、そのようなCNTネットワークの存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
同期振動が外部振動に全く影響されないという結果は予想外であった。様々な複雑なことが起こり研究の長期化を覚悟していたので、結果的に研究が進展した。 パワーノイズの認識も想定外であった。結果的に、このノイズは研究当初からあったはずであるが、気に留めていなかった。たまたま振動しない状況が続いたため、それらとの比較で認識できたのである。パワーノイズは複雑ネットワークを意味するので、現象の理解に大きく役立った。
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Strategy for Future Research Activity |
同期振動の機構がほぼ見えてきた。次のステップとしては、我々がどこまで制御できるかを探ることである。今のところ、分散液を作るだけで自発的に20Hzで同期振動し、きわめて再現性が高い。もし同期周波数を変えるパラメータが見つかれば、自然現象をテクノロジーとして応用できるかもしれない。
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