2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of superconducting sensing technology using the tip of a sharp glass tube
Project/Area Number |
21K04819
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小久保 伸人 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80372340)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超伝導量子干渉計 / 針状石英ガラス細管 / ナノセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
針状の石英ガラス細管(ナノピペット)の先端を利用した超伝導量子干渉計(SQUID)は,ナノスケールの空間分解能と高い磁気感度とを両立する新しい磁気センサーとして注目を集めている。これまで鉛やインジウムなどの単元素の金属超伝導体の薄膜をガラス管先端に成膜したナノSQUIDにおいて,単一電子スピンの検出感度が達成されてきた。さらにプローブ顕微鏡の探針に用いることで,超伝導薄膜に誘起された量子渦や磁性酸化物の表面に生じるナノスケールの磁気構造も報告されてきた。しかし,露出された先端の金属細線が劣化しやすく,素子の寿命が短いため,実用化には程遠い。そこで本研究では,大気中で酸化耐性がある窒化ニオブチタン(NbTiN)超伝導体に着目し,これを針状の石英ガラス細管に成膜したナノSQUIDの実現を目指した。当該年度は,ニオブチタン(NbTi)ターゲットを用いた反応性スパッタ成膜の成膜条件を求めるところから始め,スパッタ成膜の指向性をもたらす絞りを導入した新しいカソードを整備し,ガラス管の形状に合わせたセルフアライメント成膜による素子の試作まで行った。SQUIDの基本的な性質である臨界電流の磁気振動が得られたことから,ガラス管先端を利用した窒化ニオブチタン薄膜の素子の作製に概ね成功したといえる。さらに,室温大気中で1週間ほど放置しても,素子の超伝導転移温度の変化は期待どおり認められなかった。しかし,素子の抵抗が徐々に上昇し,臨界電流が低下する素子の劣化が見られ,さらなる改善が必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
窒化ニオブチタン薄膜の超伝導転移温度を最適化する反応性スパッタ成膜の成膜条件を見出した後,ガラス管の形状に合わせたセルフアライメント成膜法で窒化ニオブチタン薄膜の素子を試作した。有効面積~11,000 nm2のナノSQUIDとして動作を示す臨界電流の磁気振動を得たところまでは概ね当初の計画通り進展した。しかし,素子を室温に戻し,大気中で1週間放置すると,素子の抵抗が上昇し,臨界電流が低下する素子の劣化が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
窒化ニオブチタン薄膜と石英ガラスとの間に潮解性のある酸化マグネシウム膜の下地膜を導入してきた。吸湿による膨張あるいは潮解による溶解が素子の劣化の要因であるか否かを明らかにするため,今後は潮解性を示さない窒化アルミニウム膜を下地膜として導入し,比較検討する。
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Causes of Carryover |
購入予定であったxyzピエゾスキャナーの納期が大幅に遅れたため年度内に購入できなかった。次年度に繰り越して購入する。
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Research Products
(2 results)