2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K04825
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
久保田 繁 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (60396588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 文彦 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50372339)
水野 潤 早稲田大学, ナノ・ライフ創新研究機構, 上級研究員(研究院教授) (60386737)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有機太陽電池 / 3次元ナノ構造 / 光閉じ込め / 光学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究では、有機薄膜太陽電池に光が斜めから入射した場合の発電性能を改善することを主な目的として、3次元ナノ構造を利用した光閉じ込め技術に関する光学解析を行った。有機太陽電池は従来型のシリコン太陽電池に比べて、弱い光でも比較的高いエネルギー変換効率を維持できることから、室内用発電デバイスとして注目されている。太陽電池を室内で使用する場合には、光源から直接伝搬する光に加えて、様々な物体の表面に当たって拡散した光も多く受け取るため、斜め方向の光も有効に発電に利用する必要がある。3次元ナノ構造の一種であるモスアイ構造は、蛾の眼の表面を模倣して考案されたものであり、ナノオーダーの微小な突起を多数配置した周期構造である。モスアイ構造では、入射光の伝搬方向に沿って有効屈折率が連続的に変化するため、斜入射においても高い反射防止性能を発揮することが知られている。そこで本研究では、モスアイの光学性能をさらに向上させると共に、有機太陽電池の光学特性と最適にマッチングさせることを目的として、モスアイの幾何形状を様々に変えた時の短絡電流密度や反射率スペクトルの変化を解析した。また、入射角が確率的に変化すると仮定して、発電電流の期待値を予測する手法を考案し検討を行った。その結果、モスアイ形状を適切に制御することで、幅広い入射角において可視光域の光吸収が増加することにより、発電性能が大幅に向上することが明らかになった。このように、3次元ナノ構造を応用して太陽電池の光閉じ込め性能を改善するための有用な知見が数多く得られており、研究は全体として順調に進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、有機太陽電池の光閉じ込め性能の向上に関する検討を行い、多くの新しい知見が得られており研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、これまでの成果を発展させて、特に斜入射における光閉じ込め効果を改良するための光制御法について検討を行う。
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Causes of Carryover |
他予算の獲得やコロナ感染拡大の影響により、本予算の使用が当初に比べて少なかったためであり、今後の実験およびシミュレーションに必要な物品費に使用する予定である。
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