2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K04825
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
久保田 繁 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (60396588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 文彦 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50372339)
水野 潤 早稲田大学, ナノ・ライフ創新研究機構, 客員上級研究員(研究院客員教授) (60386737) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 有機太陽電池 / 3次元ナノ構造 / 光閉じ込め / 光学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究では、有機薄膜太陽電池に光が斜めから入射する場合の光閉じ込め性能について光学解析を行った。有機薄膜太陽電池は、シリコン太陽電池と比べて弱い光でも相対的に高い発電効率を維持できること、LEDや蛍光灯のような屋内光源のスペクトルと適合した吸収波長特性を有することから、屋内環境への適用が注目されている。特に工場のような特殊な環境では、太陽電池の使用方法を事前に想定することで、光の入射方向が設計時にある程度予測可能な場合が考えられる。そこで、本研究ではこのような場合に、設計目標の入射角に対して反射防止膜の性能を最適化することで発電効率を改善する手法について検討した。垂直入射に対して発電電流を最大化する従来法と、特定の入射角での性能を最適化する提案法の双方で多層反射防止膜を設計して比較解析を行った。光学設計に際しては、多層薄膜のための電磁界解析の代表的手法である特性マトリクス法を使用した。特性マトリクス法は、複素演算により薄膜を横切る光の電界と磁界の発展を高速に算出できるため、光学デバイスの設計に広く使用されている。解析の結果、提案法では垂直入射での発電量を低下させる代わりに、設計目標角での発電量を一定程度向上できることが判明した。このように、本手法により異なる入射角における性能のトレードオフを考慮した新しい概念の設計が可能であり、太陽電池を適用する光学環境を適切に選択することで、反射防止膜の光制御機能を改善して有機太陽電池を効率化できる可能性がある。このように、光閉じ込め技術に関する有用な知見が継続的に得られており、本研究は順調に進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機太陽電池の光閉じ込め技術に関する幅広い検討を行い、多くの有用な知見が得られており研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、これまでの成果をさらに発展させることで、様々な光学条件における光閉じ込め性能を改善するための光制御技術について検討を行う。
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Causes of Carryover |
予算の効率的な使用等により使用額が当初に比べて少なかったためであり、今後の実験およびシミュレーションに必要な物品費に使用する予定である。
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