2021 Fiscal Year Research-status Report
ミクロ相分離構造を内包したポリイミド微粒子の創生、炭素化、および電極触媒への展開
Project/Area Number |
21K04828
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
難波江 裕太 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40514881)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリイミド / マルチブロックコポリマー / ミクロ相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクロ相分離構造を発現し得るポリイミドとして、柔軟鎖と剛直鎖を有するマルチブロックコポリマーを設計した。柔軟鎖としてアルキル鎖やシロキサン鎖を含むジアミンを数種類新規に合成することに成功した。剛直鎖としては市販のテトラカルボン酸二無水物に加えて、ベンゼン環を4から10個程度含むモノマーを数種類検討した。モノマーの構造は核磁気共鳴法と赤外吸収分光法によって決定した。ポリイミドの合成において、モノマーの分子量の決定は特に重要であるので、いくつかの手法を用いて慎重に検討を行った。これらのモノマーを開環付加重合反応と、それに続く熱閉環反応に供することによって、粉末状のポリイミドサンプルを得た。粘度測定の結果、十分な分子量を有するポリマーが得られたことが分かった。得られたサンプルを熱重量分析、小角X線散乱、広角X線回折、示差走査熱量測定によって解析した。その結果いくつかのサンプルで、恒等周期長が数ナノメートルの規則的な構造が発現していることが示唆された。このような構造は本研究が目指している、メソポーラス構造の発現に適しているので、好ましい現象である。一方で、恒等周期長が数十ナノメートルに達するようなミクロ相分離構造を見出すまでには至っていない。剛直鎖と柔軟鎖の長さの比がさらに異なるポリイミドを用意し、またアニーリングの条件などを詳細に検討して、作り出せる恒等周期長の範囲をさらに広げることが肝要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数種類のポリイミドサンプルの合成を完了し、周期構造の生成も確認している。次年度にさらに多数のポリイミドを合成し、かつ微粒子化法を検討すれば、計画を十分に遂行できる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、モノマーとなるテトラカルボン酸二無水物とジアミンについて、さらに多数の組み合わせを検討して、多彩な周期構造の発現を目指す。次に再沈殿法や沈殿重合法によって、ポリイミドを微粒子化する。計画どおりの進捗であるので、大きな課題は見当たらない。
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Causes of Carryover |
モノマーの合成が順調に進んだので、当初予定より使用額が小さかった。次年度さらに多種類のモノマーを合成する予定であるので、その試薬代に充てることとする。
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