2022 Fiscal Year Research-status Report
薄膜試料のその場熱容量測定法の開発のための3ω法の適用
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21K04829
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川路 均 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10214644)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 薄膜熱容量測定 / 3ω法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,薄膜デバイスの進歩にともなって求められている誘電体薄膜をはじめとした種々の薄膜の熱物性測定において,現時点では困難な熱容量測定を可能とするものである.このため,これまで熱容量分光法で使用している3ω法を応用し,薄膜熱容量測定を行う技法および測定装置を開発することを目指している.このためには,測定技法の確立と最適な測定センサーの開発の2点が不可欠であり,これを同時進行で行なう必要がある.測定技法の確立については3ω法による熱容量分光法を応用し,最適な測定センサーの開発についても同時に開発研究を行うことにしている. 令和4年度は、令和3年度に購入したスパッタリング装置を用いて,薄膜熱容量測定に最適なセンサーの作成条件の検討をさらに進めた.3ω法に使用されている白金薄膜について様々なスパッタリング条件および形状を検討して薄膜作成を行い,その評価を行った.その結果,白金薄膜センサーの形状とは、センサー幅が狭いほど,また電気抵抗が小さいほど、センサーが作動する高周波数範囲が比較的高周波領域まで拡張することが明らかになった.しかし,現状では定量測定が可能な周波数範囲が数10kHzまでにとどまっており,さらに,数100kHz領域まで拡張する必要がある.また,ガラス基盤についての予備的測定を行い,物性測定が可能なことが確認できた。今後、実際の多層薄膜熱容量測定試験と測定周波数の高周波数化について,重点的に進めて行く予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「測定センサーの開発」については,スパッタリング装置を購入し,薄膜熱容量測定に最適なセンサーの作成を条件を検討している.3 ω法に使用されている白金薄膜について様々な条件で薄膜作成を行い,その評価を行っており,ほぼ順調に進捗している. 一方,「測定周波数の高周波数化」については,10kHz程度以下までの測定は可能になったものの,さらなる高周波化については、あまり進捗していない.今年度はこの点を重点的に進めて行く.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍もほぼ収まってきており,十分な実験時間を確保できると考えられ,「テスト試料における薄膜熱容量測定試験と測定周波数の高周波数化」をさらに進めるとともに,装置開発研究を終結させ,強誘電薄膜について薄膜化にともなう相転移現象の変化を調べる研究を進めて行く.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため十分な実験ができず,液体ヘリウムなどの冷媒の使用が減少し,物品費の使用が十分に出来なかった.これについてはコロナ禍が収まりつつあるため,令和5年度に精力的に実験を行う予定であり,そのために使用する.
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