2021 Fiscal Year Research-status Report
Surface modification of Ag nanoparticles and their substrates for high sensitive plasmonic sensors
Project/Area Number |
21K04830
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
高廣 克己 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (80236348)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イオンビーム / 石英 / ミクロン周期表面加工 / 局在型表面プラズモン共鳴 / 銀ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、十分制御された環境下に置かれた銀ナノ粒子(Ag NPs)の化学的安定性と高強度LSPR回復・維持の可能性を示し、特殊凹凸加工されたガラス基板上に表面修飾されたAg NPsを三次元高密度配列させる。それを使って、実用に耐え得る高感度VOCセンサーを実際に作成することで、本手法(銀ナノ粒子表面修飾と基板特殊加工)の有用性を実証することを目的とした。また、研究代表者が見出したプラズマ曝露によるナノ粒子表面清浄化機構およびイオンビーム誘起ガラス変形機構を解明し、学術的知見を得ることを第二の目的とした。このうち本年度では、イオンビーム誘起ガラス変形機構を解明するための実験に注力した。 透明石英板、ソーダライムガラスおよびSiウエハーを1100 ℃熱酸化して作製するSiO2膜とする。広島大学ヴァンデグラフ加速器から得られる1~2 MeV H+, He+およびN+ イオンビームを、ファインメッシュ(2~6 μm ピッチ、3~10 μm 窓幅)を通して垂直に照射し、ソーダライムガラス以外の試料表面にミクロン周期の凹みを形成することができた。石英ガラスの場合、含有する不純物(OH,Fe3+,Al3+等)にかかわらず3 %程度の高密度化が生じた。また、密度変化率についてイオンの核的エネルギー付与量依存性がみられた。顕微ラマン分光および熱処理の結果から、石英ガラスの高密度化は,石英ガラス中の環状構造の中で最も存在比の多い構造である六員環が三員環に変化することによものと結論した。 また、イオンビーム照射したAg NPsの化学的安定性を検討した結果、Ag NPs環境に応じたLSPR変化を発現することが分かった。これにより、イオンビーム照射Ag NPsの環境センサーへの応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021から2023年度の研究期間中、学外施設・広島大学イオンビーム加速器が使用できるものとして計画を立てたが、R3年度末をもって同施設が利用できなくなったため、初年度に2022年度実施予定であったイオンビーム実験を集中して行った。このように、研究計画の変更を余儀なくされたため、当初の計画通りに進んでいない。しかし、2022度の実験のほとんどを2021年度に実施することができたため、全体的には、やや遅れている程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行うはずであった銀ナノ粒子(Ag NPs/SiO2試料)の作製を行い、実装を想定して、試料をいくつかの環境・雰囲気 中で1ヶ月~数ヶ月間保管する。各環境下に一定期間置かれた試料について、光吸収(LSPR波長、強度)測定、X線光電子分光による表面組成分析、AFMによる表面形態観察を行う。有意なLSPR強度低下が認められた試料に対して、現有の小型プラズマクリーナーを用いて、プラズマを曝露する。その後、LSPR波長と強度を測定し、プラズマ生成ガス組成、曝露時間と回復率の関係を検討する。また、発光分光によりプラズマ中の活性種を調査する。プラズマ中の原子状水素がLSPR回復の主因であると考えられるので、発光分光では、原子状水素からの発光(Hα線)強度に着目する。これらの実験を通して、プラズマによるLSPR回復機構の解明を目指す。さらに、プラズマ中への微量酸素導入により、清浄Ag NP表面への極薄Ag2O膜形成を試み、LSPR特性を維持したまま耐硫化性・耐酸化性の向上を図る。
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Causes of Carryover |
外部研究施設の閉鎖に伴い、研究計画の変更を余儀なくされ、初年度に予定していた設備備品の購入を行わなかったため、差額が生じることになった。これを、2022年度助成金と合わせることで、予定していた設備備品を購入し、初年度に行う予定であった研究を実施する。
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Research Products
(1 results)